1次審査で不正投票 旧エンブレム選考
2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会は18日、佐野研二郎氏デザインで白紙撤回した旧エンブレムの選考過程について、外部有識者による調査報告書を公表し、事前に応募要請した8人のデザイナー全員が1次審査を通過できるように不正な投票が行われていたと認定した。一方、2次審査以降は適切に行われたとし、最終的に佐野氏の作品を選出した結論には影響はなかったとした。
報告書によると、審査委員代表だった永井一正氏の意向を受け、当時マーケティング局長の槙英俊氏と同企画財務局クリエイティブディレクターの高崎卓馬氏が8人の作品が2次審査に進めるよう画策した。
1次審査は作者名を伏せてプラスチック製の札を作品の脇に置く形の投票で、2票以上を獲得した作品が2次審査に進む方式だった。槙、高崎両氏はどの作品が8人のものかを事前に把握しており、投票終了間際まで1票だった2作品に対し、永井氏に追加で投票を促した。報告書は「明らかな不正」と断じた。この2作品は2次審査で落選した。
報告書は審査委員だった高崎氏が、8人の作品を事前に把握していたことも「審査の公正性に対する重大な疑義を生じさせるもの」と指摘した。組織委のチェック機能も問題視し「手続きの公正さを軽視し、コンプライアンス(法令順守)に目をつぶる、なりふり構わぬ働きぶりは、現代の五輪組織委には全くそぐわない」と批判した。不正に深く関与した永井氏の姿勢も問題となりそうだ。組織委の佐藤広副事務総長は「謙虚に受け止め、ガバナンス(統治)改革を実行する」と述べた。