青学大往路完全V!山の神野が復活走
「箱根駅伝・往路」(2日、大手町~芦ノ湖駐車場=5区間)
青学大は1区から5区まで先頭を譲らない完璧なレースを展開し、5時間25分55秒で2年連続2度目の往路優勝を果たし、総合2連覇へ弾みをつけた。5区では箱根路ラストランの“新山の神”こと神野大地(4年)が故障明けながら区間2位の1時間19分17秒の好走でフィニッシュした。1区から1位を維持しての往路Vは第81回大会の東海大以来11年ぶり。3日の復路は5区間109・6キロで実施され、往路2位の東洋大は3分4秒差からの逆転優勝を狙う。
神野は、山の神としてよりも主将としての責任を果たしたかった。同級生のエース久保田が1区で区間賞を取り、後輩たちが先頭をキープして渡ってきたタスキ。「この1年は故障で苦しかった。箱根も間に合わないかと思ったけど、絶対もう一度優勝するんだという気持ちで走った」。先頭でゴールテープを切ると、両腕は自然と天に伸びた。
前回制覇の原動力となったが、昨年は2月に左大たい骨、6月に右すねを疲労骨折。11月にもすねを故障し出場が危ぶまれたが、直前の12月20日にやっと痛みが引いた。
圧倒的なタイムこそ出せず、区間2位だったものの「今回は山の神になれなかったけど、箱根の神様に走らせてもらえた」と不思議なパワーに突き動かされた。
17・4キロ付近では突然脇腹を押さえた。右脇腹から足にかけてつりそうになり、「練習不足で体が耐えられなかったかな」。それでも、さすがは箱根の星だ。「先頭なので、テレビ解説に驚かれるかと思って2キロくらいは我慢したけど」とうそぶく余裕も見せた。
20キロ過ぎには心強い仲間、同じ4年で寮長の伊藤の顔が見えた。「主将の自分がケガでチームをリードできないときに生活面で引っ張ってくれた」。前日にはメールで「笑顔で給水しよう」と約束。苦しさを満面の笑みでかき消し、「彼がケガで出られない分も頑張ろうと思った」と最後の力を振り絞った。
連覇に向け、原監督は「ハッピー大作戦」を掲げてきた。人生のヤマ場を登り切った神野は「自分では(ハッピー指数)95。あした総合優勝できれば、言い表せないくらいハッピーになれる」。神の力ではなく、チーム全員の力を結集して完全制覇を果たす。