福士、五輪出場確実に!涙の独走V

 「大阪国際女子マラソン」(1月31日、ヤンマースタジアム長居発着)

 福士加代子(33)=ワコール=が日本歴代7位となる2時間22分17秒で優勝した。日本陸連が定める派遣設定記録(2時間22分30秒)を上回り、リオデジャネイロ五輪出場権獲得を確実にした。過去、五輪の懸かったマラソンの選考会では08年、12年と2回続けて終盤に失速していたが、三度目の正直で大輪の花を咲かせた。今大会の優勝は繰り上がりで1位になった13年に続き2度目となった。

 三度目の正直に力強くガッツポーズ。ゴールテープを切った福士は、満面の笑みで永山忠幸監督(56)と熱い抱擁を交わした。「やったー!やっと取ったよ、1等賞!!」。描き続けてきた景色は涙でにじんでいた。

 序盤からハイペースなレース展開。先頭集団にいたチェピエゴと竹中の脱落で、25キロ地点からは独走状態になった。足の裏には痛みも走ったが、「もう折れちまえ!!」。折れない心で駆け抜けた。

 五輪代表の選考が懸かった大阪国際は苦い思い出しかなかった。08年は脱水症状に陥り、最後はフラフラになりながらゴールした。ロンドン五輪を目指した12年も終盤に失速した。「何回も失敗してきたのでいいかげん、いい走りがしたかった」

 銅メダルを獲得した13年の世界選手権後には「もうマラソンは走らない」と宣言したこともあったが、それでも戻ってきた。「負けて終わるのは嫌だった」と言う。その覚悟が独走でもペースを落とさせなかった。

 二人三脚で走り続けてきた永山監督は、12年の敗戦を「食べられなかったこと」と分析。福士がマラソンを走ると決意してからは、1食白米500グラムをノルマにした。練習以上に厳しい“食”との戦い。指揮官は「食べ続けた福士をほめたい」とうなずいた。

 五輪代表に選出されたら?との問いに「リオで金メダルです」と白い歯を見せた福士。「リオ決定だべ!よろしくお願いします」とマイクに向かって猛アピールした。期待を背負い続けてきたトラックの女王が、力強くマラソン界の女王に名乗りを上げた。

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