“足技の女王”松本が寝技で仕留めた
「柔道・グランプリ大会」(19日、デュッセルドルフ)
ロンドン五輪金メダリストで女子57キロ級の松本薫(28)=ベネシード、同52キロ級の志々目愛(22)=帝京大=が優勝した。昨年の世界選手権覇者の松本は決勝でフランス選手を抑え込んで一本勝ち。志々目は決勝でロンドン五輪3位のプリシラ・ニェト(フランス)に優勢勝ちした。リオデジャネイロ五輪の日本代表候補にとって、4月の代表決定前で最後の国際大会となる。
攻めの幅を広げた松本の姿があった。自身にとっての五輪イヤー初戦で、足技が得意な世界女王が4試合中3試合を寝技で仕留めた。「寝技を徹底してやってきた。その成果が出た」と、大きな手応えをつかんだ。
きっかけは昨年12月のグランドスラム(GS)東京大会2回戦。シルバ(ブラジル)の腕ひしぎ十字固めに一本負けし、強い危機感を持った。寝技や絞め技などへの対応力を上げるべく、ロシア発祥で関節技が主体の格闘技「サンボ」の指導者に教えを請うた。
今大会準々決勝のシルバ戦は指導の数の差による辛勝だったが、フランス選手との決勝は腕を相手の首に巻き付けて変則的な形で抑え込んでの一本勝ち。「立ち技は全く出していない」と結果だけでなく、中身にこだわった。
GS東京大会で敗れた不安を打ち消し、2連覇を目指すリオデジャネイロ五輪への視界も良好になった。「勝つのは当たり前。国内(4月の全日本選抜体重別選手権)で金メダルを取って、代表権を自分のものにしたい」と眼光を鋭くした。