福士、名古屋欠場へ「代表残ると判断」
リオデジャネイロ五輪の女子マラソン代表最終選考会を兼ねる名古屋ウィメンズマラソン(13日、ナゴヤドーム発着)の大会事務局は1日、一般の部にエントリーしていた福士加代子(33)=ワコール=の欠場を発表した。1月の大阪国際を日本歴代7位の2時間22分17秒で制したが、陣営は「落選の可能性が残る」として、名古屋への強行出場を表明していた。出場を回避した理由について、ワコールの永山忠幸監督は「総合的に判断した」などと説明した。
永山監督は「私は福士を守らなくちゃいけない」と語気を強めた。翻意した理由に関して「いろんなものを考えたときに、われわれの名前が代表に残るだろうと総合的に判断した」と続けた。日本陸連側との協議はなかったとし「あくまでワコールサイドの判断」と強調した。
福士は大阪国際で日本陸連の設定記録(2時間22分30秒)を突破して優勝。しかし、選考基準上、代表入りの確約は得られず、名古屋で複数の選手が設定記録を破った場合、落選の可能性もわずかに残る。そのため、2月25日に名古屋の一般の部に“強行エントリー”していた。永山監督はアクシデントについては「昨日まで走るために準備をしていた。体調うんぬんではない」と完全否定した。
福士陣営に何があったのか。エントリー発表があった25日、主催者はペースメーカーが走る目安を発表し、大阪国際よりわずかに遅い設定であることが判明。福士以外の出場選手の実力を“値踏み”して、安全圏と判断したことも十分にありえる。さらに、京都のワコール本社には、今回の騒動に関するファンからのメールが通常業務に影響が出るほど殺到した。
「福士ファンから、『休ませてあげてほしい』という声が届いた。そういう声に耳を傾けるのもひとつ。福士の出した結果は、素晴らしいものと自負している。これ以上を求めてやるのは、正直いかがなものか」。永山監督は、最後にそう締めくくった。リオデジャネイロ五輪のマラソン代表は17日に発表される。