ラグビー日本代表“陰の主将”広瀬引退
ラグビー日本代表の前主将で、昨年のワールドカップ(W杯)日本代表では試合出場の機会がなかったものの陰の主将と呼ばれた広瀬俊朗(35)=東芝=が2日、東京都府中市の東芝府中事業所で引退会見を開いた。
日本代表に数々の勝利をもたらした広瀬は、すがすがしい笑顔でマイクを持った。
「人生は1回だけだし、次のことに向かいたいと思って引退を決めました」
昨年のW杯で南アフリカを破るなど史上最多の3勝を挙げた日本代表にあって、陰の主将と呼ばれた。W杯では出場ゼロながら、練習では常に全力を出し切ってチームの意識を高めた。グラウンドを離れればリーチ主将や若手の相談にのり「広瀬さんなしにW杯の3勝はなかった」と多くの選手が感謝した。
W杯のときから「頭にあった」という今季限りの引退を最終的に決意したのは帰国後、トップリーグで満員になった観客席を見たときだったという。
「選手としてやりたいと思っていたことは成し遂げた。自分にしかできないことがきっとある」
慶大では理工学部で学び、東芝には研究職で入社。移動中は英字紙を読む知性派だ。
「指導者にも興味はあるし、ビジネスマンとしても過ごせたら最高。海外に挑戦したい気持ちもある」
現在はラグビー選手の価値を高めるため選手会立ち上げに尽力。2月には日本協会の理事会にも出席した。19年のW杯開催に向け、スパイクを脱いでも、広瀬は日本ラグビーの柱であり続けそうだ。