レスリング渡利璃穏、五輪へ悲壮決意

 レスリング女子で、リオデジャネイロ五輪の出場枠が唯一ないのが最重量の75キロ級。19日に試合が行われるアジア予選(カザフスタン・アスタナ)に階級変更して挑戦するのが渡利璃穏(りお、24)=アイシンAW=だ。「最後のチャンスと思って、1発でいきたい」と9日、五輪切符取りに気合を入れた。右脚すねを疲労骨折しているが「痛み止め(薬)を飲めばできる」と覚悟を示した。

 異変を感じたのは昨年の夏ごろだったという。右すねに初めて痛みを感じ、どんどん悪化。2月下旬に診察を受けると、磁気共鳴画像装置(MRI)とエックス線で脛骨(けいこつ)疲労骨折と診断を受けた。

 走れば激痛が走る。早期回復を目指すなら手術の必要があるが、リハビリに3カ月はかかる見通し。手術かリオか。即決だった。「痛み止めの薬でも何でもできる」と、夢を優先し、手術の先延ばしを決めた。

 女子代表は沖縄合宿中。9日午前は、砂浜で体力強化を図った。渡利も五輪代表組に交じり表面上は負傷の影響を感じさせなかった。

 1年前は63キロ級が主戦場だった。五輪出場のチャンスをつかもうと昨秋、2階級アップを決断。そこから食事を1日5回に増やし、大皿にご飯を盛って胃袋に詰め込んできた。半年間で10キロ近い増量に成功、今では72キロになり、大きくなった体つきに女心が揺らいだ時期もあったという。

 名前は璃穏と書いて「りお」と読む。由来は「母親のおなかにいたとき、元気でやんちゃで、親は男の子だと思ったらしい。だから、穏やかな子になってほしいと願ったみたい」と笑う。リオ五輪に挑戦する今では運命的なものを感じている。自分の名前がついたオリンピックの舞台に立つ日まで、どんな困難も乗り越える。

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