琴奨菊連勝 新妻に白星プレゼント
「大相撲春場所2日目」(14日、エディオンアリーナ大阪)
初の綱とりに挑む大関琴奨菊が関脇嘉風を豪快に押し出して2連勝と波に乗ってきた。
迷いはみじんもなかった。琴奨菊は立ち合い鋭く低く嘉風に襲いかかった。得意の左は差せなかったが、右を抱え込む。離れて取りたい相手を体の前に置いて圧力をかけ、最後は左の突き放しで土俵の外へ押し出した。
嘉風は塩田宗広トレーナーの指導でともにトレーニングを行う盟友でありライバル。「立ち合いはあれでいい。しっかり当たっていけたし、相手の気持ちの動きも見えていた。冷静に戦えた」と、淡々と振り返った。
今場所はメンタル面の充実度が際立っている。毎日土俵に上がるまで同じルーティンを守ることで心の波風を防ぎ、重圧と向き合う際には「やるべきことをやれば自信を持って土俵に上がれる。土俵に上がったら勝ち負けがあるからこそ、自分が納得する相撲を取れればそれでいい」と自分に言い聞かせ、最大パフォーマンスを発揮している。
土俵に集中できるのは、新妻・祐未さん(29)の存在も大きい。9日の大阪入りから公私両面のサポートを受けているが「奥さんがいると気力の部分が充実する」。この日はくしくもホワイトデー。バレンタインデーの愛情チョコレートのお返しは、会心の取り口で挙げた白星だった。
重圧のかかる綱とり場所で初日から2連勝。八角理事長は「相撲に迷いがない。こうすれば勝てるというのが分かってきた」と32歳の進化に目を見張る。「方向性はいい。明日からもしっかり頑張ります」。鏡のように波紋のない心を武器に、綱への流れを呼び込む。