琴奨菊3敗綱絶望的「勝つやつが強い」
「大相撲春場所・10日目」(22日、エディオンアリーナ大阪)
初優勝を目指す大関稀勢の里は横綱鶴竜を大逆転の小手投げで撃破し、初日から10連勝を飾り単独トップをキープした。横綱白鵬は大関照ノ富士を寄り切り1敗で追走。両者が11日目に激突する。大関豪栄道は大関琴奨菊をすくい投げて破り1敗を死守した。琴奨菊は3敗目を喫し、今場所の綱とりは絶望的になった。
張り詰めていた緊張の糸がプツリと切れた。琴奨菊は支度部屋の風呂場に入ると、言葉にならない叫びを上げた。悔しさ、無念の思い、後悔の念。そのすべてを吐き出した後で「勝つやつが強いね」とポツリつぶやいた。
前日の稀勢の里戦で変化に屈した。その影響があったのか、この一番は出足に鋭さがなかった。豪栄道の張り差しをまともに受けてもろ差しを許すと、万事休す。豪快にすくい投げを打たれ、土俵の上で砂をかんだ。
連敗で痛恨の3敗目となり、今場所での綱とりは絶望的となった。残り5番に全勝しても12勝止まり。優勝した初場所の1場所前の昨年九州場所が8勝だったことも印象が悪く、八角理事長(元横綱北勝海)は「苦しい。優勝争いから脱落するのが早かった」と厳しい見方を示した。
ただ、最終的に12勝すれば、来場所に綱とりがつながる可能性は残っている。「やめたら終わり。あきらめなかったらいい。しっかり気持ちを切り替えてね」。チャンスがゼロになるまでは夢をあきらめない。