陽はまた昇るか、男子バレー
機運が高まっている。5月に開幕するバレーボールのリオデジャネイロ五輪世界最終予選で、08年北京大会以来となる五輪出場を目指す全日本男子。南部正司監督は「非常にいいチームになるかなと思っている。リオの舞台に立って、活躍する姿を見せられて初めて、日本男子の復活になる。力を出せば、リオに行けると確信している」と、自信をみなぎらせた。
今、全日本男子は80~90年代に中垣内祐一、川合俊一らが巻き起こしたブームを彷彿とさせるフィーバーを起こしつつある。昨年のワールドカップ(W杯)では12チーム中6位に終わり、同大会での五輪出場権獲得はならなかった。ただ、近年では最高の5勝をマークし、敗れたもののロシアとフルセットの接戦、優勝した米国や、3位のポーランドからセットを奪うなど善戦が際立った。
その中心にいたのが、“日本史上最高の逸材”とうたわれる石川祐希(20)=中大=だ。高いスパイク決定率でチームをけん引した。石川自身「(ロンドンを逃した)4年前はテレビも見てなかった」と、五輪への特別な思いはないが「過去のことは気にする必要ない。今のチームで切符を獲りに行きたい」と、力を込める。石川を含め、同じくアタッカーの柳田将洋(サントリー)、ミドルブロッカーの山内昌大(愛知学院大)、高橋健太郎(筑波大)の新世代4人衆「NEXT4」は、そのイケメンぶりからも人気沸騰。大学リーグや、全日本選手権では立ち見が出るほどの熱狂を呼んでいる。
世界最終予選に向けては、頼もしい選手たちも帰ってきた。昨年は全日本を外れていた08年北京五輪代表の福澤達哉(パナソニック)、越川優(JT)が2年ぶり代表候補に復帰。昨年から主将を務める清水邦広(パナソニック)とともに、12年ロンドン五輪で出場権を逃した悔しさを知るベテラン勢の存在は、厳しい戦いの中で必ず必要になってくる。南部監督は「清水、福澤は、北京五輪を大学生で経験している。『今度はお前たちが若い選手を連れていく番だぞ』と伝えている」と、期待を込める。
昨年1年間、ブラジル・スーパーリーグを経験した福澤は「結果がすべてのシビアの世界。プロフェッショナルについて考えさせられた」と、精神的に一回り大きくなった。「人気が復活してきて、“よし、ここからだ”というところ。自分の色を出していきたい」と、新戦力との共闘に手応えを滲ませた。
全日本男子が世界の頂点に立った72年ミュンヘン五輪から44年。勢いに乗る新世代と、低迷期を支え続けてきたベテラン勢。2つの力が融合し、リオ切符を獲得した時、全日本男子が真の復活への一歩を刻むことになる。(デイリースポーツ・大上謙吾)