柔道・田知本姉妹、夢は初の同時五輪
リオデジャネイロ五輪代表選考を兼ねた全日本選抜体重別柔道が4月2、3日に福岡国際センターで行われ、男女最重量級をのぞく12階級の代表が決まった。女子70キロ級は大会2連覇を果たしたロンドン五輪代表の田知本遙(25)=ALSOK=が2大会連続で五輪出場する。
試合後に姉の女子78キロ超級、田知本愛(27)=ALSOK=と「2人で五輪に行きたい」と姉妹出場を強く望んだ遙。愛はこの大会の準決勝で敗退した。女子は17日の全日本選手権(横浜)で最重量級代表が決まる。しかし、全日本選抜を制していれば代表へ大きく前進するところだっただけに、黒星は痛かった。愛は「自分のやってきたことを出したいと思った。今度こその思いが強すぎた」と悔やんだ。
柔道では1996年アトランタ五輪男子の中村3兄弟がいるが、姉妹同時出場は例がない。富山・小杉高時代からともに戦ってきた仲のよい姉妹にとって、一緒に五輪出場することは究極の目標だ。
遙も姉のいない五輪は考えられない。昨年2月、ドイツでの国際大会直前にドーピング違反の恐れがある市販の風邪薬服用が発覚。全日本柔道連盟から警告処分を受けた。本人が「どん底を体験した」という時期だ。
帰国後、泣いてばかりいる遙に黙って寄り添ったのが愛だった。「家族や違う所属の選手までみんなが心配してくれて、自分が奮起しないとダメだと思った。中でもずっとそばにいてくれた姉の存在は大きかった」。今大会を制し、強くなれた理由を「感謝の気持ち」だと言う遙。だからこそ、今度は自分が姉を支える役割を担う。(デイリースポーツ・船曳陽子)