澤似の金藤 日本女子初の2分19秒台
「競泳・日本選手権」(9日、東京辰巳国際水泳場)
女子200メートル平泳ぎは、金藤理絵(27)=Jaked=が2分19秒65の日本新で優勝。既に内定していた渡部香生子(JSS立石)に続き、08年北京五輪以来2大会ぶりの代表入りを決めた。
苦難を乗り越えてきた花は、華麗に咲く。ベテラン金藤が他を寄せ付けない圧倒的な泳ぎで、自身の日本記録を大幅に更新する日本女子初の2分19秒台をマーク。世界歴代5位の好タイムで、一躍、リオ五輪の金メダルの筆頭候補に浮上した。
レース後は笑顔とともに、涙も頬を伝った。19歳で08年北京五輪に出場したが、12年ロンドン五輪は落選。現役を退くことを考えた。昨年の世界選手権で6位に終わった時も、よぎったのは“引退”の2文字。それでも「応援してくれる人たちの最後の記憶に残るレースが、情けないレースじゃ嫌だ」と奮起し、覚醒につなげた。
前日には男子平泳ぎの第一人者、北島が引退。「精神力がすごいし、たくさんの人が応援してくれる。私もそんな存在になりたい」と、改めて意識を強くした。女子サッカー界のレジェンド澤穂希さんに似ているといわれる27歳。「19秒台を出せたし、世界記録も見えた。メダルを狙いたい」。遅咲きの大和撫子(なでしこ)が、2度目の五輪の舞台で満開の時を迎える。