野口が引退会見「思う存分走りきれた」

 2004年アテネ五輪女子マラソン金メダリストの野口みずき(37)=シスメックス=が15日、神戸市内で引退記者会見を行った。会見では「思う存分走り切れた。とてもすがすがしい気持ち」と話し、度重なる故障と闘った競技人生を笑顔と涙で振り返った。今後は未定だが「陸上界に恩返しできたら」と青写真を描いた。

 こぼれ落ちる涙には一片の悔いもない。自らにかける言葉を問われた野口は「自分が納得するまで走り切れてほんとに良かったね。お疲れさま」と笑顔で言った。高校卒業後、ワコールに入社時「足が壊れるまで走りたい」と目標を掲げた。「その言葉どおり、思う存分走りきれた。とてもすがすがしい気持ち。自分の思いを達成できて良かった」

 北京五輪を欠場後は、苦闘の連続だった。故障と体調不良を繰り返し「何度もどん底を味わった」。復活の手応えを得ては、また沈む。その繰り返しで150センチの小さな体は疲弊していた。引退理由を「トップレベルの走りができなくなった。2年くらい前から心と体のバランスが悪くなった」と明かした。

 笑顔の中で言葉を詰まらせたのは、20年近く師事してきた広瀬永和総監督(50)について語った時だ。「何度も『やめます』と言ったけど、ずっと私の力を信じて支えてくれた。だからボロボロになるまで走れた」と大粒の涙を流した。

 今後は未定で「陸上界に恩返しできれば」と夢を描く。心に残るレースは3つ。04年アテネ五輪と2度目のマラソンで好記録を出した03年の大阪国際女子、そして、沿道の大歓声で「道が輝いて見えた」という今年3月の名古屋ウィメンズだった。2時間33分54秒で23位と記録も順位も自己ワースト。それでも「幸せな陸上人生」の象徴が、もがき続けた末のラストランだったのが野口らしかった。

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