大麻使用スノボ2選手、登録無期限停止
スノーボード男子の未成年選手が大麻を使用していた問題で、全日本スキー連盟(SAJ)は27日、都内で臨時理事会を開き、スロープスタイルの男子2選手に対し、実質「除名」にあたる競技者登録の無期限停止など4つの処分を下した。1人は使用を認め、もう1人は否定しているが、毛髪鑑定の結果、2人から成分が検出された。未成年のため、氏名は公表されなかったが、18年平昌五輪を目指すトップ選手も含まれている。バドミントンの違法賭博問題に続き、スポーツ界に再び衝撃が走った。
バドミントンの違法賭博問題から立ち直る間もない中で、さらなる不祥事がスポーツ界を襲った。スノーボード・スロープスタイルの未成年男子選手2人の大麻使用が判明。SAJの古川年正専務理事は「真摯に受け止めている。スキー連盟だけではなく、スポーツ界にいい影響を与えないことは重々承知しており謝罪したい」と、頭を下げた。
今回の処分により、2選手は全日本連盟、国際連盟が関係するW杯などの大会には出場できない。ただ、スノボ競技にとって、五輪は決して最高峰の大会ではない。冬季競技の祭典と言われるXゲームを始めとしたプロ大会が多く存在し、人気を集めている。海外のプロ大会などには出場できるため、2選手が今後、プロ活動に専念する可能性もある。
それでも五輪競技におけるスノーボードという競技が、今回負った傷は深い。過去にも全日本元王者の大麻取締法違反容疑での逮捕や、10年バンクーバー五輪での国母和宏による“腰パン&暴言”騒動も記憶に新しい同競技。ある関係者は「またスノボかと思われる…」と、ため息交じりにつぶやいた。
バンクーバー五輪の“国母騒動”以降、関係者は選手の人間力強化に尽力してきた。独特のファッションや文化が根付くスノボの世界。“公人”として扱われる日本代表の自覚を植え付けるべく改革を実施。合宿では各競技の代表が集まる国立施設を利用する頻度を増やし、他競技選手と接触する機会を増やすことで社会性を身につけさせた。また、専属のメンタルコーチも招聘。すぐにフードをかぶるような癖は治り、チームの一体感も生まれた。
ソチ五輪で3つのメダルを獲得し、今年、世界最高峰のXゲームで平野歩夢、角野友基の2人が金メダルを獲得するなど、大躍進を遂げていた同競技。18年平昌五輪でも複数メダルが期待される中、襲った痛恨の不祥事。ソチ五輪で「今だからいうけど、今回メダル獲れなかったら、もう獲れないと思ってた。若い選手の力は凄い。信じてあげることが大事」と涙した萩原文和強化部長は、今回の責任を取り辞任した。これまでの関係者の努力を水泡に帰す愚行となった。