加藤凌平リオ切符、内村とWエース!
「体操 NHK杯兼リオデジャネイロ五輪代表選考会・男子個人総合」(5日、代々木第一体育館)
男子個人総合が行われ、加藤凌平(22)=コナミスポーツ=が全日本選手権との得点合計180・100点で2位となり、リオデジャネイロ五輪代表に決定した。加藤はロンドン五輪に続いて2大会連続の代表入り。同じくロンドン五輪代表の田中佑典(26)=コナミスポーツ=は加藤に0・1点及ばず3位。今大会での五輪代表入りは逃した。すでに代表に決定している内村航平(27)=コナミスポーツ=が184・650点で圧勝し、大会8連覇。個人総合連勝記録を37に伸ばした。
体操ニッポン屈指のクール&マイペースな男が、感情をほとばしらせ拳を握った。「今までの試合で1番シビれた着地だった」。田中佑の猛追にあい、最終種目の鉄棒で15・550以上の得点が必要となった加藤。わずかなミスさえ許されない中、G難度カッシーナ、F難度コールマンなど離れ技を完遂。最後は内村をほうふつとさせる寸分の乱れもない着地を決め、2度目の五輪切符をもぎとった。
昨夏にじん帯を損傷した左足首にまだ不安が残る中、土壇場で会心の演技。あらためて驚異的な精神力を見せつけた。「追い詰められても平常心でいられるのが僕の強み」。18歳で出場したロンドン五輪から4年。内村とともに常に日本代表で戦い続けてきた。世界の舞台でも一切揺るがないその“強心臓”ぶりは、日本の武器といっていい。
4月に入社したコナミスポーツの監督で、元世界選手権代表の父裕之さんは代表決定を見守り「鉄棒の時点で(田中)佑典かなと思った。着地で1歩でも動けば駄目。よくできるなと思う」と、目を細めた。
自身も安定感が武器だったという父は「自分も試合で失敗したことはほとんどない。僕に似たということにしといてください」と笑いながら「とにかくマイペース。慌てるところはほとんど見たことがない。あっちの方がいろいろと上をいってる」と、その勝負強さに舌を巻いた。
自らが果たせなかった五輪出場を、2度かなえた孝行息子に「『お前の普通の演技ができたら(代表に)入るぞ』と伝えていた。やらなきゃいけないというところではやるというのが今回も出た。驚いてる」と、称賛を惜しまなかった。
リオ五輪で04年アテネ五輪以来となる団体金メダルを狙う中、内村と加藤のオールラウンダー2人に懸かる期待は大きい。内村が「気持ちの部分でぶれがない、そこが強み。団体戦の独特な雰囲気でしっかりやらないといけない時に凌平の存在はすごく大きい」と頼る“もう1人のエース”は「まだ航平さんに追いつけていない。リオまでに横に並べる力をつけたい」と頼もしく宣言した。
しっかりとそびえ立つ2本の大黒柱がそろい、12年ぶりに“栄光の架け橋”を築く土台は整った。