佐々木、桃田抹消で五輪 引退撤回

 バドミントンのリオデジャネイロ五輪代表に決まった男女9選手が9日、都内で会見した。違法カジノ問題で無期限出場停止処分を受け、世界ランクから抹消された桃田賢斗(NTT東日本)に代わり、男子シングルス代表となった佐々木翔(33)=トナミ運輸=は「前に進むしかない」と決意表明した。また、会見前には警視庁の専門家を招き、不祥事の再発防止に向けて、代表全員が講習を受けた。

 葛藤の末に出した答えだからこそ、佐々木はひたすら淡々と語った。「いろいろあったけど、今は走りだすしかないと思っています」。桃田の代わりに、引退を撤回して臨むリオ五輪。一度はあきらめた日の丸を背負うには、覚悟が必要だった。

 違法カジノ問題の発覚後、佐々木の代表入りがささやかれ始めてからは「朝起きたら決まっているかも、という毎日が3週間続いた」と言う。「桃田やその家族、周囲の人の気持ちを背負えるか」と自問自答する日々だった。

 4月28日に遠征先の中国で代表決定の報を受けた。それでも葛藤は続いたが、悩み抜いた末に「悟った瞬間があった」と言う。「これ以上考えなくてもいい。神様が裁くこと。清く正しく精いっぱいやる」と腹を決めた。

 本番まで残り3カ月。調整も急ピッチだ。ただ、代表で唯一2大会連続五輪出場となるベテランは「ロンドン後にコントロールがつき、体の使い方も継続してやってきた。全体的に上がっている」と手応えはある。

 代表入りが決まり、妻の琴美さん(33)と2人の息子とは「お疲れさま」と声を掛け合った。「家族も一緒に五輪レースを戦ってきましたから」。実直を絵に描いたような男が、数奇な運命を受け入れ大舞台に挑む。

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