棄権の錦織、数字に見る脇腹痛の影響 サーブの平均速度18キロ低下、強打できず
「テニス・ウィンブルドン選手権」(4日、ロンドン)
男子シングルスで、世界ランク6位の錦織圭(26)=日清食品=がマリン・チリッチ(27)=クロアチア=との4回戦、第2セットの途中で棄権した。大会前から痛めていた左脇腹の状態が悪化したと見られ、公式サイトの数字を見ても十分に戦える状態ではなかったことがうかがえる。
日本の男子シングルスでは松岡修造以来21年ぶりとなる8強進出をかけた錦織の戦いは43分間で終わった。特筆すべきは、棄権するまでに6回あったサービスゲームで、錦織は1回しかキープできなかった点だ。この試合、第1サービスの平均速度は、第1セットで151キロ、第2セットは158キロ、試合を通じては平均154キロだった。最速でも166キロだった。
ストレート勝ちした3回戦のクズネツォフ戦では、平均で172キロ、最速は192キロを出せていた。サービスを特別な武器にしているわけではない錦織とはいえ威力の低下は明らか(平均速度では18キロ)。トップレベルを相手にすれば、苦しい試合になるのも当然だ。
4回戦で錦織は第1サーブを37本中30本入れているが、結果的には“入れているだけ”に近いものになっていた。30本入れたうち、ポイントを得たのは13本だけ。チリッチは第1サービスを39本中26本しか入れていないが、そのうち22本をポイントにしている。
サーブ以外にも象徴的だったのは、ネットにつめた錦織にスマッシュを打ち込めるチャンスボールが来たシーンだ。本来ならスマッシュをたたき込むところをボレーにいき、ネットにかけてしまう。強打をためらわせるほど、状態が悪いことをうかがわせた。
そんな中でもぎりぎりまで錦織は戦い続けた。四大大会では決勝で対戦した14年の全米オープン以来の顔合わせとなったチリッチ戦だったが、十分に力をぶつけ合う状況がそろわなかった。2015年のウィンブルドンも左ふくらはぎ痛のため2回戦を棄権しており、大舞台にコンディションを合わせる難しさも浮き彫りになった。