稀勢の里、痛恨1敗 綱とり場所の序盤戦でつまずいた…
「大相撲名古屋場所・5日目」(14日、愛知県体育館)
綱とりの大関稀勢の里が栃煌山に突き落とされ、序盤戦で痛い1敗を喫した。横綱白鵬も宝富士の小手投げに不覚を取り、1敗に後退。春場所からの連勝は33で止まった。平幕の逸ノ城が嘉風を押し出して、ただひとり全勝を守った。十両宇良は阿武咲を突き落として5連勝とした。
悲願の初優勝、そして綱とりへ、あまりにも痛い黒星だった。稀勢の里は支度部屋に戻ると「はー、はー」と荒い息を吐き、しばらく沈黙を貫いた後で「うーん、ま、切り替えて、また明日から頑張ります」と自分に言い聞かせるように言葉を絞り出した。
立ち合いは突き放して出た。機を見て左差しを狙ったが、過去22勝13敗と決して楽な相手ではない栃煌山は、簡単にまわしを取らせてくれない。苦し紛れに前へ出たものの、相手に左に回り込まれ、足がそろったところで痛恨の突き落としを食ってしまった。
4日目までは得意の左四つで勝ち続けてきたが、離れて取ると弱点を露呈した。八角理事長(元横綱北勝海)は「勝負を急いで足がおろそかになっていた」と苦言を呈した。
1998年の3代目若乃花以来となる日本人横綱誕生に暗雲漂う黒星だったが、まだ勝負の神は見捨ててはいなかった。直後の取り組みでV本命の白鵬が敗れ、同じく1敗に後退した。「集中して、また明日からですね」。乱れた心を整え、残り10日間に全身全霊を傾注する。