綱とリ稀勢ヒヤリ星 左脚一本で踏ん張り1敗キープ
「大相撲名古屋場所・6日目」(15日、愛知県体育館)
綱とりの大関稀勢の里は妙義龍に突き落としで勝って連敗を免れた。軍配は妙義龍に上がったが、物言いがつき、行司差し違えで辛くも白星を拾った。横綱白鵬も琴勇輝を突き落として連敗を免れた。逸ノ城に土がついて全勝が消え、9人が1敗で並ぶ混戦模様となった。
地獄から天国とはこのことだ。稀勢の里が運にも恵まれ、絶対にしてはならない連敗を免れた。妙義龍にのど輪で押されて土俵際に詰められると、苦し紛れに左からの突き落とし。自身が土俵下に落ちたのと、相手が土俵上に倒れ込むのがほぼ同時に見えたが、行司軍配は妙義龍に上がった。
だが、直後に物言いがつき、勝負審判の二所ノ関審判部長が「行司軍配は妙義龍に上がりましたが、妙義龍の体が先に落ちており、軍配差し違えで稀勢の里の勝ちとします」と場内アナウンス。実際は妙義龍の右手が土俵につくのがわずかに早く、稀勢の里は左足一本で残していた。
今場所綱とりを果たすためには、初優勝が絶対条件。仮にこの一番で負けていれば、中日を待たずに2敗に後退となり、終盤戦の大関横綱戦を考慮すれば、事実上の“終戦”になりかねなかっただけに、大きな、大きな白星となった。
支度部屋で報道陣から「相手が先に落ちるのが見えていたか」と問われると、落ち着いた口調で「まあ、そうですね」と答えた。そして「こういう勝ちをまた明日に生かしていきたい。(これからも)一日一番だと思う。今日は今日に、明日は明日に集中する。変わらずやってきたことをしっかりね」。綱とりが綱渡りにならないよう、しっかりと気を引き締めた。