稀勢の里1敗守って弟弟子・高安とトップ!!綱いだ自力優勝&横綱
「大相撲名古屋場所・9日目」(18日、愛知県体育館)
綱とりの稀勢の里が照ノ富士との大関対決を寄り切りで制して1敗を守り、勝ち越しを決めた。横綱白鵬が勢に、横綱日馬富士は嘉風に、ともにはたき込みで敗れて2敗に後退したため、賜杯争いのトップに立ち、悲願の綱とりへ大きく前進した。小結高安が隠岐の海を下手出し投げで下して勝ち越しを決め、兄弟子稀勢の里と首位を並走している。
綱への第1関門を見事に突破した。稀勢の里がこの日から始まった大関戦の“先鋒”照ノ富士を落ち着いて料理した。立ち合い、ハズで押し上げて左を差し、すぐに右上手を引いた。照ノ富士は半身でこらえたが、冷静にさばいて、最後は右上手をしっかり引いて寄り切った。
栃煌山に不覚を取った5日目以外は白星を並べ、9日目にして勝ち越しを決めた。「思い切っていこうと思った。(結果は)じっくり攻めていくことになったけど、意識は攻めようという感じでした。危なげない相撲だった?そうですね」と充実感を漂わせた。
この日の朝稽古では四股、テッポウ、すり足の基本動作を繰り返した。「四股はまだまだ。何が正解か分からない。いろいろな人に教わってね。ちゃんと踏めば、下半身が決まってくる」。普段より四股の回数が多かったことには「(今朝は)晴れているし、セミも鳴いているから」と禅問答のような受け答え。大事な一番を控え、静かに心を整えた。
照ノ富士を破った後、強烈な追い風が吹いた。あろうことか、白鵬、日馬富士の両横綱が敗れて2敗に後退し、弟弟子の高安と並んで賜杯レースのトップに押し上げられた。このまま勝ち続けられれば自力で初優勝と横綱昇進を引き寄せることができる。「気持ちは変わらない。集中してやりたいですね」。巡ってきた千載一遇のビッグチャンス。もう逃がしはしない。