稀勢の里、2敗守った 賜杯争いは日馬富士との一騎打ちへ
「大相撲名古屋場所・12日目」(21日、愛知県体育館)
綱とりの大関稀勢の里が正代を突き出して2敗を守った。横綱日馬富士も魁聖を上手出し投げで退けて2敗をキープしたが、横綱白鵬は大関照ノ富士に敗れて3敗に後退。13日目は稀勢の里と日馬富士の2敗同士が直接対決する。十両宇良は天風に小手投げで敗れて8勝4敗となった。
日増しに高まる緊張感を強い心で封じ込めた。稀勢の里は立ち合い正代に攻め込まれると、たまらず後退。だが、綱への希望が消えるかもしれない土俵際でしっかりと踏みとどまった。左ですくって回り込み、体勢を入れ替えての突き放し。これが見事に決まった。
館内に沸き上がる稀勢の里コールを浴びながら、今場所10度目の勝ち名乗りを受けた。「左のおっつけが良かった?そうですね。いいと思います。体が動いているし、反応がいい。気持ちの面も状態はいいです」。小声だが、自信に満ちた口調で大事な一番を振り返った。
取組後、2敗で並んでいた白鵬が照ノ富士に敗れる波乱があった。最大のライバルが3敗に後退し、賜杯争いは日馬富士との一騎打ちの様相を呈してきた。13日目はその日馬富士と結びで直接対決するが、この大一番に勝てば単独トップに立ち、初優勝と綱とりが、がぜん現実味を帯びてくる。
日馬富士とは23勝34敗で先場所は千秋楽で当たり、押し出して勝っている。「特別なことはできないから、一日一番、明日も集中してやるだけです。(優勝は)自分次第じゃないですか」。稽古で鍛えた強じんな体と、過去の失敗から学んだ心を携え、相撲人生の大きな、大きな一番に臨む。