ケンブリッジ、山県が夢つなぐ 「五輪コラム」

 陸上男子100メートルの予選で、日本のスプリンター3人の明暗が分かれた。ケンブリッジ飛鳥が4組2着、山県亮太は8組2着で準決勝進出を決めたが、桐生祥秀は7組4着で敗退。好走したケンブリッジと山県は、準決勝で日本選手初の9秒台突入の期待を抱かせた。

 ▽向かい風で好タイム

 リオの五輪スタジアムは風が舞うコンディション。日本選手のレース時はいずれも向かい風だったが、ケンブリッジ、山県はともに持ち味を発揮して予選通過を果たした。

 ケンブリッジは初めての大舞台の緊張感を感じさせなかった。向かい風0・5メートル。力みのない動きで順調な加速。日本選手権で山県、桐生を破って優勝した時と同様に中盤以降に伸びた。9秒99の自己記録を持つ蘇炳添(中国)にも先着し10秒13。「イメージ通りの走り」と余裕があった。予想以上のことを成し遂げるのでは、と期待させる大物感がある。

 向かい風1・3メートルと最も悪条件だった山県も落ち着いていた。得意のスタートの反応時間は0・111秒と組で最速。好ダッシュをスムーズな加速につなげて中盤過ぎまでリードした。10秒20は、風の中ではかなり評価できる。ロンドン五輪に続く準決勝進出。「全体として悪くない。いつでもいいスタートを切れる準備はしている」と、確かな手ごたえを強調した。

 桐生の7組にはウサイン・ボルト(ジャマイカ)ら9秒台の自己記録を持つ選手が4人もいた。重圧を受けたのか、桐生はやや動きが硬く、本来の爆発力を欠いた。10秒23(向かい風0・4メートル)で4着。敗退のショックを隠して「次の4年間でまた成長したい」と東京五輪での雪辱を期した。

 ▽決勝進出には9秒台必須か

 3組で行われる準決勝では、各組上位2着までと3着以下のタイム上位2人が決勝に進む。さすがに五輪で、顔ぶれはすごい。24人中、実に19人の自己ベストが9秒台だ。自己記録のランキングでは山県の10秒08は23番目、ケンブリッジの10秒10は24番目。通常のコンディションなら決勝進出には9秒台が必須で、場合によっては9秒台でも敗退の可能性がある。昨年の世界選手権準決勝の決勝進出ラインは9秒99だった。

 ケンブリッジ、山県には、条件は厳しいものの9秒台と決勝進出に真正面から挑戦してほしい。大舞台に力むことなく、それぞれの特性を発揮することが夢の扉を開くカギとなる。

(荻田則夫)

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