ゴルフに団体戦導入を 「五輪コラム」

 112年ぶりに五輪に復帰したゴルフは女子が行われ、メジャー7勝の朴仁妃(韓国)が2位に5打差の圧勝で金メダルを獲得した。日本勢は野村敏京が4位と健闘した。先に終了した男子もメジャー優勝経験のあるジャスティン・ローズ(英国)が制した。72ホール、ストロークプレーの個人戦に五輪らしさがあったのは表彰式だけ。ゴルフが五輪に定着するには試合方式の変更が必要だろう。

 ▽ツアーと同じ顔触れ

 米ツアーのトップ選手がそろった女子(パー71)は、当然のようにツアーの実力者が上位に並んだ。今季、米で2勝を挙げている野村は最終日に65で追い上げたが、銅メダルに1打及ばなかった。

 選手たちは懸命なプレーを見せた。メダル争いの顔ぶれが米ツアーと変わらないのは、男子の試合も同様だった。だがメジャー大会のような独特の緊張感は伝わってこない。1打の重みが少し軽いような感じさえする。五輪ならではの雰囲気はまだ醸成されていない。

 上位選手はメダルを狙って意欲的なプレーを見せた。しかし前半で大きく下位に沈んだ選手には、予選カットがない分、長い4日間だった。ツアーでは下位でも賞金があるし、ランキングを上下するポイントもある。五輪にはメダル以外には賞金もない。大たたきした選手は後半、何を目的にプレーしたのだろう。

 ▽4年に一度の魅力

 ゴルフ界はツアー制度が整備され、メジャー大会がそれぞれ最高レベルの競技会としての権威を確立している。五輪競技として存続、定着させるため、早くも改革論が出始めているという。男子にトップ選手の出場辞退が相次いだことも背景にある。五輪ゴルフ独自の新しい価値観をつくらなければ、選手にもファンにもそっぽを向かれるだろう。

 改革論としては団体戦の導入が有力だ。前半を団体戦とし後半の個人戦を組み合わせれば、メダル争いのヤマ場を2回設けられるメリットもある。4年に1度の魅力ある競技会として、どう育てるかを注目したい。

(荻田則夫)

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