桐生 五輪疲れなし凱旋レースで9秒台へ激走「ブーム起こす」

 「陸上日本学生対校選手権・第1日」(2日、熊谷スポーツ文化公園陸上競技場)

 リオデジャネイロ五輪男子400メートルリレー銀メダルメンバーの桐生祥秀(20)=東洋大=が帰国後初のレースに挑み、100メートルの準決勝で、向かい風0・8メートルの条件の中、10秒12の好タイムをマーク。3日の決勝での日本人初の9秒台へ期待が膨らんだ。また東洋大のアンカーを務めた男子400メートルリレーでも決勝進出を決めた。

 周囲から注がれる期待のまなざしが、今は心地よくて仕方がない。歴史的な快挙となったリレーの銀メダルで、帰国後は表彰や取材など大忙し。練習できたのはわずか2日間だけだったが、桐生が凱旋レースで力強い走りを披露した。

 予選を10秒26で突破すると、準決勝では向かい風を切り裂き、10秒12の好タイムをマーク。「五輪で学んだことをいろいろ試そうとして走った」と声を弾ませた。

 リオ五輪では、ボルトと走った100メートルは今季集中的に取り組んできたスタートへの意識が強すぎ、持ち味の中盤からの爆発力が影を潜めた。一方で3走を務め、スタートのなかったリレーでは世界の猛者たちを相手に一時はトップに躍り出る走りをみせた。

 「リレーで走れて、100メートルで走れないわけない。スタートはこなせるようになっている。リセットして、自分の得意な部分を伸ばそうと思った。力を全部中盤で使うつもりで」と、帰国の飛行機で思い立ち、さっそく実践。強行軍の中でも上々の成果を得た。

 3日の決勝では日本人初の9秒台の期待も膨らむ。「今は陸上が楽しい。メダルを獲って、今、陸上がキテるし、波に乗ってまた一ブーム起こしたい」と力を込めた。勢いそのままに、桐生が10秒00の壁を壊しにいく。

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