国民栄誉賞の伊調「まだ通過点」 去就未定も東京五輪へ意欲
リオデジャネイロ五輪のレスリング女子58キロ級で金メダルを獲得し、女子個人種目で五輪史上初の4連覇を達成した伊調馨(32)=ALSOK=が13日、国民栄誉賞受賞が決まったことを受けて、都内で会見を行った。レスリング界での受賞は2012年の吉田沙保里以来2人目。伊調は「信じられない気持ちが大きい。支えてくださった方に感謝の気持ちでいっぱい」と喜びを表した。
国民的スターの仲間入りを果たしてもなお、求道者の向上心は尽きない。黒いジャケットにベージュのパンツ姿で会見に臨んだ伊調は、競技人生を振り返り「自分の中ではまだ半分。50点くらい」と採点。「まだ通過点で、もっといいレスリングをしたい。若い人にも技術や取り組み方を指導していきたい」と、さらなるレスリング道の追求に燃えた。
選手としては、36歳で迎える20年東京での5連覇も狙える。去就については明言しなかったが、「次が東京というのは私の中で大きい。挑戦したい気持ちはもちろんある」と意欲ものぞかせた。
一方で、リオ五輪直前に左肩を痛めるなど満身創痍(そうい)。「年齢は関係ないけど、けがの状態もあるし、これから何をしたいかいろんな選択肢を時間をかけて考えたい」。日本協会は来年の世界選手権には若手を派遣する方針で、伊調はしばらく休養しながら次の目標を立てる。
目立つのは苦手なシャイガールだが、この受賞を機に前に出る勇気も出す。「今まではマスコミ対応が苦手で、ひたすらレスリングに打ち込ませてもらったけど、その代わり競技の普及には尽力できていなかった」。吉田と並ぶレスリング界の顔となり、「まだマイナーな競技をメジャーにするために(自分も)変わっていきたい」と意欲を見せた。
今後は若手の指導にも力を入れる方針で、「ちびっこからシニアまで、ふれあう機会があればどんどん参加したい。それが自分の糧にもなるし、一番やらないといけないこと」。金メダリストの精神を惜しみなく伝えていく。