豪栄道が初V王手 日馬富士下し横綱連破 初日から破竹の13連勝
「大相撲秋場所・13日目」(23日、両国国技館)
大関豪栄道(30)=境川=が横綱日馬富士を大逆転の首投げで破り、初日から怒とうの13連勝で初優勝に王手をかけた。優勝争いは2敗を守った平幕遠藤と2人に絞られた。14日目、豪栄道が玉鷲に勝てば決定。その前に遠藤が高安に敗れた時点でも決まる。08年琴欧洲以来、8人目のかど番V、そして大阪出身力士としては86年ぶりの賜杯を“きょう決めたるで!!”
ナニワの豪栄道豪太郎が“メンチ切り”なら一歩も引くわけにいかない。最後の仕切り前、日馬富士と目線が交錯。「必死だった。目をそらしたらやられる」。5秒、10秒…、まさにケンカ。鬼の形相でにらみ合った。
闘志充満の立ち合いは頭からぶつかったが、低い姿勢の横綱に攻め込まれた。引いて土俵際寸前の大ピンチ。瞬時に左にまわってこらえ起死回生の首投げで鮮やかに逆転した。
大一番、土壇場でこれまで何度も自らを救った“必殺技”がさく裂。「必死でした。褒められた技じゃないけど、きょうに関しては良しとしないと」と、興奮しきりだった。
鶴竜に続き横綱を連破し、日馬富士の2場所連続Vを阻止。「歓声がいっぱいあった。勝ったなと思った」。自己最多13連勝に館内は座布団が乱舞した。
怒とうの快進撃で悲願に王手をかけた。優勝を初めて意識したのは07年の新入幕時。それから9年、53場所目の初優勝となれば史上4位のスロー記録になる。14年秋場所の大関昇進後は左膝半月板損傷など故障続きで今場所が2度目の2桁勝利。さらに4度目のかど番だったが、ついに“落第大関”を返上する時が来た。
大関伝達式では「大和魂を貫く」と口上を述べた。前日、リオ五輪柔道金メダリストの大野将平が観戦に訪れ金メダルを持たせてもらった。「あのメダルを取るためにいろんなものを犠牲にしてきたんだな」。苦難に耐えてきた“大和の男”は頂点に立つための思いの重さを感じ取った。
大阪から母・真弓さんが駆け付け、この日も観戦。愛息は声援に応えた。24日は故郷・寝屋川市の市役所1階でパブリックビューイングが開催される。大阪出身力士の86年ぶりの賜杯。歓喜の瞬間が間もなく訪れる。