初V豪栄道「不安でいっぱい」前夜一睡もできず 記録ずくめの悲願
「大相撲秋場所・14日目」(24日、両国国技館)
大関豪栄道(30)=境川=が平幕玉鷲を寄り切りで下し、怒とうの無傷14連勝で初優勝を飾った。30歳5カ月の初優勝は歴代5位の年長記録、新入幕から54場所は4番目のスロー達成となった。08年琴欧洲以来、8人目のかど番V。大阪出身力士の賜杯は86年ぶり3人目と記録尽くしの悲願成就となった。
気持ちがはやったか、つっかけてやり直し。2度目の立ち合いは下から豪快に攻め立て、右を差すと頭を付けて一気に寄った。
ついにつかんだ頂点。大きく「フーっ」と息を吐いた。館内から「豪栄道」コールが響く中、土俵下では必死に興奮を抑えた。
テレビインタビューでは泣いた。「いろいろな思いがありました。思い通りにいかないことが多くてつらかったけど、今日で少し報われました。うれし涙です」と、ほほを涙がつたった。
大関13場所目で2桁勝利がわずか2度。今場所が4度目のかど番だ。「大関に上がってなかなか思うように勝てなくて、そういうつらい中で、自分の中で我慢してきた」と、ふがいない思いをずっと抱えてきた。
前日、13連勝した時、周囲はもう優勝が決まったかのような騒ぎ。「僕は不安でいっぱいだった。勝負ごとは最後まで分からない」。前夜は相撲人生初めて一睡もできなかった。
優勝の要因は「右差しにこだわって取ったのが良かった」と振り返った。「まぐれだと言われないように来場所、頑張りたい」と力を込めた。
来場所、九州場所が綱とりとなるが、今は「まだ何も考えていない。ちょっと余韻に浸らせてください」と、喜びをかみしめる時。帰りには母・沢井真弓さん(60)や姉・笠原優雅(36)らと優勝記念写真に照れくさそうに収まった。