豪栄道、男泣き初V 大阪出身86年ぶりの賜杯!来場所綱とりへ
「大相撲秋場所・14日目」(24日、両国国技館)
大関豪栄道が初優勝に男泣きした。平幕玉鷲を寄り切って14連勝とし、初優勝を決めた。30歳5カ月での初優勝は年6場所制で5番目の年長で、かど番大関の優勝は08年夏場所の琴欧洲以来8人目。新入幕から所要54場所での初制覇は史上4番目の遅さで、大阪出身力士の賜杯は86年ぶり3人目。九州場所(11月13日初日、福岡国際センター)で綱とりに挑む。
男・豪栄道が号泣した。「いろいろな思いがありました。思い通りにいかないことが多くてつらかった。少し報われました」。テレビの優勝インタビューで、あふれた涙が何筋も頬をつたってこぼれ落ちた。
今場所、「こだわった」と言う右四つを迷わず貫いた。2度目の立ち合い、鋭い踏み込みで玉鷲を起こして右を差し、一気に寄り切った。悲願の優勝。館内からは「豪栄道」コールが響いた。
泣きながら悔しい日々が頭を巡っていた。大関13場所目で2桁勝利はわずか2度。今場所は4度目のかど番だった。「大関に上がってなかなか思うように勝てなくて、つらいなかで我慢してきた。常に情けない思いがあった」
だからこそ、優勝が見えた瞬間は怖さに襲われた。「不安でいっぱいだった。勝負ごとは最後まで分からない」。前夜は相撲人生で初めて一睡もできず、布団の中で葛藤した。
左膝半月板損傷など、故障に悩まされ大関昇進後は低迷した。だが大関昇進時、「大和魂を貫く」と口上を述べた日本男児は「体が万全だから勝つわけじゃない。勝っても負けても言うもんじゃない」と言い訳はしなかった。
小2の時、全国大会の決勝で敗れ、日暮れまで泣き続けた少年・豪太郎。小3で本格的に相撲に取り組んでからは“豪の道”をひた走った。ケンカをしても上級生が相手。ケガをしても「大丈夫」としか言わなかった。
小2の悔し涙が今、人生最高の「うれし涙」になった。相撲人生を支えてくれた母・沢井真弓さん(60)や姉・笠原優雅さん(36)らと帰り際に優勝記念写真に納まった。「おかげさまで、ということだけです」と、母には感謝しかない。
来場所の綱とりには「まだ何も考えていない。余韻に浸らせてください」と笑顔も見せた。86年ぶりの大阪出身力士の賜杯。浪速のおとこ気大関がやったで!!