羽生 今季初戦で世界がビックリ 史上初4回転ループ決めた
「フィギュアスケート・ジャパンオープン」(1日、さいたまスーパーアリーナ)
今季初戦を迎えた14年ソチ五輪王者の羽生結弦(21)=ANA=が、男子ショートプログラム(SP)で国際スケート連盟(ISU)公認大会では史上初となる4回転ループを成功させ、88・30点で首位に立った。2連覇の懸かる18年平昌五輪のプレシーズンとなる今季は高難度の構成に挑戦。4回転-3回転の連続ジャンプは失敗したが、早速さらなる進化を見せつけた。女子SPは本郷理華(邦和スポーツランド)が60・33点で4位につけ、木原万莉子(同大)が59・09点で5位に続いた。
“氷上のロックスター”に扮(ふん)し、プレ五輪シーズン初戦に臨んだ羽生。その第一歩は歴史的な大技で彩られた。両脚を180度に開くイーグルの助走から高く踏み切り、史上初めて4回転ループに成功。GOE(出来栄え点)でも+0・8点を上乗せするジャンプで、フィギュアスケート史に名前を刻んだ。
今オフは昨季シーズン中に痛めていた左足甲じん帯の回復が遅れ、氷上練習ができない時期も長かったが、いきなり不安を一掃。ただ、快挙に満足しないのが羽生らしい。「緊張した。(4回転ループは)みなさんは驚くかと思うが、僕にとっては関係ない。プログラムを完成しきれなかったことが、ただただ悔しい」
後半の連続ジャンプで失敗。演技後は失敗した場所に行き、地団駄(じだんだ)を踏むように悔しがった後、そっと氷をなでた。国際連盟審判員から直接「史上初の偉業」の認定を告げられた時こそ柔らかく笑ったが、終始厳しい表情で演技を振り返った。
演技の面でも新境地に挑んだ。SPは今年4月に急死したプリンスの名曲「レッツ・ゴー・クレイジー」。かつてプリンスが実際に着ていたものをイメージした上下白色を基調にした華麗な衣装で舞った。うなりを上げるエレキギターと、中性的でパワフルなプリンスのボーカルに合わせた滑りで観客の視線をくぎ付けに。「衣装や曲が出す雰囲気を、音をまといながら演技をしたい」。求めるレベルは高いが、まずまずの感触をつかんだ。
「もっと練習しなくちゃ」-。さらなる高みを目指す羽生の季節が始まった。