照強 新十両確定 阪神大震災当日に淡路島で誕生…来年誕生日に関取として土俵に

 「大相撲九州場所・13日目」(25日、福岡国際センター)

 阪神・淡路大震災が起きた1995年1月17日に淡路島で生まれた西幕下9枚目の照強(てるつよし、21)=伊勢ケ浜=が、元幕内鏡桜(鏡山)との全勝対決を寄り切りで制し、7戦全勝で優勝し、来場所(1月8日初日、両国国技館)の新十両を確実にした。横綱対決は鶴竜が白鵬を寄り切り、1敗で単独首位を守った。大関稀勢の里、新入幕の石浦は3敗に後退し、2敗は横綱日馬富士のみ。14日目に日馬富士が白鵬に敗れ、鶴竜が大関豪栄道に勝てば、鶴竜の7場所ぶり3度目の優勝が決まる。

 故郷への思いを、照強は右手に込めた。つかんだまわしを絶対に離さない。一気の出足で、幕内経験もある鏡桜を寄り切った。

 「(相手は)右膝が悪そうだったし、右から右から攻めればと思った。緊張して(昨夜は)1時間くらいしか眠れなかった。うれしい」と、緊張から解放され、安どした。

 「(運命は)感じます」としみじみと語る。1995年1月17日、阪神・淡路大震災が起きた当日の午後9時、震源地に近い兵庫県洲本市の病院で生を受けた。10年春場所で初土俵を踏み、40場所。震災から22年を迎える来年初場所の1月17日、念願の十両として土俵に立つ。

 「昨年、自分の誕生日に関取になる目標を立てた。幕下だと誕生日に相撲がない日もある。十両に上がれば毎日相撲が取れるから、テレビでも見てもらえる。それがうれしい。東日本大震災の方々も同じく、僕が頑張ることで被災した人たちに力を与えられる。みんながワクワクするような相撲を取りたい」と言い切った。

 168センチ、112キロの小兵。道のりは険しかった。「稽古もご飯を食べるのもつらかった」。猛稽古で知られる伊勢ケ浜部屋では「毎日100番」がノルマ。この1年半は伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)の勧めで筋力トレーニングで強化した。

 この日、兄弟子の日馬富士からは「自分の相撲を取れ!!」、付け人を務める照ノ富士から「緊張するな!!」とハッパをかけられ、応えた。初場所で勝ち越し、「地元に十両として帰りたい」と、3月の春場所での“凱旋”を誓った。

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