鶴竜V3 成長示した!2年前は終盤に失速し優勝逃す
「大相撲九州場所・14日目」(26日、福岡国際センター)
横綱鶴竜が13勝1敗で昨年秋場所以来、7場所ぶり3度目の優勝を飾った。2敗だった日馬富士が白鵬との横綱対決に敗れ3敗となり、鶴竜が結びの一番で大関豪栄道を上手出し投げで下し、千秋楽を待たずに決めた。2年前の九州場所は終盤失速し、優勝を逃しただけに、成長を証明。白鵬、日馬富士と3横綱がそろった中で、価値ある賜杯となった。大関稀勢の里は照ノ富士との大関対決を制し、年間68勝目を挙げ、日馬富士に1差をつけて初の年間最多勝利を決めた。
真骨頂の流れるような連続技で鶴竜が決めた。踏み込まれたが、左を差し右から抱えて反撃。巻き替えて右を差し込みながら豪栄道の巻き替えを誘い、左に開いて相手を崩しながら絶妙の投げを打ち土俵外に飛ばした。
目の前で日馬富士が敗れ、勝てば優勝の結びの一番。3度目の立ち合いでも乱れなかった。今場所、綱とりの主役だった大関に格の違いを見せつけ、3度目の優勝を達成した。
優勝インタビューでは「うれしい。(勝てば優勝の1番に)自分の相撲に集中した。(今年は)なかなか優勝に絡めず、苦しい時期を過ごしたけど、最後にいい形で良かった」と、喜びに浸った。
2年前の九州場所を忘れない。初日から10連勝し首位に立った。だが11日目に稀勢の里に敗れ、そこから失速し、優勝を逃した。
「思い出していた。ここで成長が試されると思った。気合を入れてやって良かった」
今場所も11日目、連勝を10で止められたのが稀勢の里という悪夢の再現。しかし、崩れなかった。「気持ちも体も両方。成長できたという実感が自分でもある」と胸を張った。
前回2度目の優勝時、白鵬、日馬富士が休場して1人横綱だった。14日目、稀勢の里相手に2度の立ち合いで2度とも変化し、大きな批判を浴びた。この日、大一番でも真っ向から当たった相撲で、かつての“弱い姿”を完全に払しょくした。
3横綱そろった中での初賜杯に「それもうれしい」と、実感を込めた。屈辱の九州で、モンゴル人3横綱の“末弟”は殻を打ち破った。