松山聖陵 強力FWで花園初勝利を 高校時代に全国V…28歳監督の挑戦
「全国高校ラグビー」(12月27日開幕、花園ラグビー場)
全国高校ラグビーの出場校が出そろった。四国勢で注目は、39年ぶり2度目の花園切符を手にした松山聖陵(愛媛)。大阪の名門・東海大仰星の主力選手として全国優勝を経験した就任5年目の渡辺悠太監督(28)が率いるチームは、強力FWを武器に花園初勝利を狙う。
松山聖陵が圧倒的な強さで花園切符をつかんだ。23日の愛媛県予選決勝・北条戦。前半こそ苦しんだものの、3点リードで突入した後半は自慢の強力FWが本領発揮。ドライビングモールで立て続けにトライを奪うなど相手を突き放し、39年ぶりの頂点に立った。
「選手たちが勝ちたいという気持ちを持って、最後まで攻め続けてくれた」。喜ぶフィフティーンを見つめながら、就任5年目の渡辺監督が目を細めた。
28歳の同監督は大阪・東海大仰星高出身で、06年度の花園で全国優勝を経験。東海大でも主力WTBとして活躍した。高校時代は山中亮平や木津武士、大学時代はマイケル・リーチや三上正貴ら、のちの日本代表メンバーと一緒にプレーした。
大学卒業後は故障のため、現役続行を断念。教員の道へ進み、12年に松山聖陵の監督に就任した。
大舞台を知る若き指揮官は、着実にチームを強化した。ただ、花園への道のりは想像以上に険しかった。昨年は準決勝で北条に同点抽選の末に敗れた。
「自分が高校のときは花園に出て当たり前だったけど、立場が変わればこんなに遠いものなのかと…」
花園に行くために何をしなければならないのか。渡辺監督は部員全員と話し合い、練習メニューを一新した。「古い時代に戻ったような練習です。とことん走りました」。毎日、グラウンドのそばにある坂道でダッシュを繰り返した。徹底的に脚力を鍛えたことで、FW陣の圧力がアップ。BK陣のスピードも向上し、どこにも負けないスタミナも身につけた。悔しさをバネに取り組んだ過酷なトレーニングが、花園への道を開いた。
今夏甲子園に初出場した野球部に続く快挙。「野球部の活躍が刺激になった。野球部に続けてうれしい」とフッカー・三好優作主将(3年)は胸を張る。
花園初出場の39年前、先輩たちは1回戦で清水南(静岡)に9-19で敗れた。2度目の舞台ではまず「1勝」が目標になる。
「全国のFWはもっと強い。ここから1カ月、いい準備をして勝ちたい」と三好主将。渡辺監督は「39年前の先輩たちの思いも胸に、チーム一丸となって戦いたい」と表情を引き締めた。自ら知る花園の怖さと楽しさ、そして勝つための方策をチームに注ぎ込み、39年ぶりの戦いに乗り込む。