横綱鶴竜、V一夜明け会見 「とてもいい気分」
大相撲九州場所(27日千秋楽)で14勝1敗で7場所ぶり3度目の優勝を果たした横綱鶴竜(31)=井筒=が28日、福岡市内の宿舎で一夜明け会見を行った。「とてもいい気分。前回より充実した15日間だった」と笑顔をはじけさせた。
左肩痛を乗り越えて昨年秋場所で横綱昇進後初優勝。しかし、今年の名古屋場所を腰椎椎間板症で途中休場とけがに泣いてきた。
「いろいろ試して成長するための期間だった。体と気持ちが絡み合わず、苦しいし、悔しい時間を過ごしたけど、以前にけがした時に気づけなかったことに気づいた。それが大きかった。苦しい中で(先場所の)秋場所を取り切ったことが今場所につながっている。すごく精神的に強くなった」と話した。
ケガの期間は試行錯誤した。「何がいけなかったのか、何が大事なのか」。たどり着いた答えが「土俵の中での稽古が一番大事」ということ。今場所も常に土俵に下り、自分と向き合い調整したのが大きかった。
2年前の九州場所の悔しさも乗り越えた。10連勝で迎えた11日目、稀勢の里に敗れ、そこから失速し優勝を逃した。今場所も11日目に同じく稀勢の里に連勝を止められる展開。しかし崩れなかった。
「前回の失敗、悔しい気持ちがあるからできた。今回は忘れ物を取れたので良かった。この2年間、苦しかった。耐えると思って、いい時は来ると思ってやってきた」と、晴れやかに言い切った。
支えは家族だった。前日は人目もはばからずムンフザヤ夫人から熱いキスを受けた。いつも「愛してる」、「言葉が荒れてる」、「怒ってる」と伝えてくれ、「いらついているんだなあ」と、気付かせてくれるのが平常心を保てる理由だ。
「奥さんが自分を落ち着かせてくれた。(奥さんの)うれしい顔を見られて良かった」とニッコリ。長女・アニルランちゃんも父が相撲を取ってるのが分かるらしく「1カ月会ってないと、いろんなことができるようになったりする」と、父親の顔になった。
今年は稀勢の里(田子ノ浦)を筆頭に琴奨菊(佐渡ケ嶽)、豪栄道(境川)の3大関が綱とりに挑んだが失敗。特に稀勢の里に対しては「互いに邪魔してる感じ」と、ジョークも飛ばした。
「(稀勢の里の綱とりは)力はあると思う。ちょっとしたこと。何かがあと一つ足りないのかという感じ。それがあれば次の番付に上がる。(ちょっとしたこととは)人それぞれと思うけど、自分は気持ちが大事だと思う」と話した。