横審、稀勢の綱とりに否定的 来場所初Vでも「もろ手を挙げて賛成とは言い難い」
日本相撲協会の諮問機関、横綱審議委員会(横審)は28日、東京・両国国技館で定例会合を開いた。九州場所で3横綱全員を倒して12勝し、初の年間最多勝を獲得した大関稀勢の里(30)=田子ノ浦=について、守屋秀繁委員長(千葉大名誉教授)は、初場所(来年1月8日初日、両国国技館)で初優勝しても、横綱昇進に否定的な見解を示した。ほかの複数の委員も同様の意見だった。
日本相撲協会、そして審判部が、のどから手が出るほど欲しい和製横綱に対して、守屋委員長が、最有力候補の稀勢の里を特別扱いしようとする姿勢に疑問を投げ掛けた。
稀勢の里は3横綱を倒して、14勝1敗で優勝した横綱鶴竜に次ぐ12勝を挙げ、自身初の年間最多勝を単独で獲得。この“実績”を根拠に、千秋楽の全取組後、昇進問題を預かる審判部の二所ノ関部長(元大関若嶋津)が「年間最多勝を取っているから力はある。来場所全勝優勝だったら、途中からでも昇進ムードが出てくるのでは」と話した。
稀勢の里は平幕に3敗し、鶴竜に2差をつけられ、優勝争いには絡めなかった。守屋委員長はこの点について「来場所全勝なら昇進?それはあり得るでしょうね。でも、横綱(昇進の内規には)は品格、技量が抜群とある。今場所は、星は次点でも優勝争いに絡んでいないのはどうだろうか。(仮に昇進の話が上がってきても)もろ手を挙げて賛成とは言い難い」と述べた。
ほかの委員からは、13日目に栃ノ心に下手投げで喫した黒星を「印象が悪い」とする声も上がった。優勝経験は一度もない。やはり、全国民が納得する形で昇進を勝ち取る以外に道はなさそうだ。