「卓球・世界ジュニア選手権」（７日、ケープタウン）

　１８歳以下で争う大会の男子シングルス決勝で、１３歳の張本智和（エリートアカデミー）が趙勝敏（韓国）を４－３で破り、最年少優勝を果たした。日本勢では１１年大会の丹羽孝希（明大）以来の制覇で、張本は団体と合わせ２冠に輝いた。日本は団体で男女ともに優勝するなど金３、銀３、銅１のメダルを獲得。４年後の東京五輪に向け若い世代が実力を示した。

　フォアの強烈ショットが決まるのを見届け、張本がコートに大の字になって倒れ込んだ。初出場で１８歳以下の世界の頂点に立った中学１年生は「シングルスが一番難しいと思っていた。このチャンスを逃したくなかった」と、喜びを爆発させた。

　決勝は０－２の劣勢をひっくり返した。最終ゲームも５－１から一時は６－７と逆転された。ここから、強打をしぶとくしのぎ、ミスを誘ってリズムを取り戻した。好機では両ハンドのドライブで攻め立て、５連続得点で決着をつけた。

　シングルスは３回戦と準決勝で中国選手を破った。細身の体で４種目を戦い抜き「体力不足とか言われていた。今大会は試合数が多かったが、最後に優勝できたのはうれしい」と笑顔で話した。

　小学生時代から大器と注目を集めてきた。パワーでは劣勢ながら、相手の強打を止めるブロックと、隙を突いて攻撃に転じるカウンターで応戦し、接戦をものにした。中国出身の両親の英才教育で養われた技術と勝負勘は、この世代では群を抜く。ジュニア男子の田勢邦史監督は「フィジカルの強化が必要。動ける範囲がまだ狭い」と期待を込めて課題を指摘した。

　団体、シングルスの２冠を達成した。本人はジュニア世界一を「２年前まではいつか出られればいいと思っていた舞台。まさか２年後にチャンピオンになれるとは」と初々しく喜ぶ。休む間もなく８日にはドーハ入り。国際大会、ワールドツアー・グランドファイナルの２１歳以下の部でさらに年上の選手を相手に腕試しする。

　リオデジャネイロ五輪では水谷隼（ビーコン・ラボ）が２つのメダルを獲得するなど、成長著しい日本男子卓球界。１７歳での東京五輪出場も現実味を帯びてきた。