稀勢初Vに追い風 不戦勝で鬼門の13日目突破、1敗守り単独トップ
「大相撲初場所・13日目」(20日、両国国技館)
初優勝を目指す大関稀勢の里は大関豪栄道が右足首の負傷で休場したため不戦勝で12勝目(1敗)を手にした。13日目終了で単独トップは自身初。横綱白鵬は大関琴奨菊を下手出し投げで一蹴し、2敗を守って1差で追走。2敗だった平幕逸ノ城、貴ノ岩は敗れて3敗に後退した。14日目、稀勢の里が勝ち、白鵬が敗れれば、稀勢の里の初優勝が決まる。
初優勝へひた走る稀勢の里に追い風だ。豪栄道が休場で不戦勝。ただ1人1敗を守る12勝目が転がり込んだ。
朝稽古後、不戦勝が伝えられると「そうなの?」と驚き。続けて「いろいろありますから。常に毎日準備している。休養というより、明日に向けてしっかりです。1日1日やっているから、毎朝、稽古に来てやりたいようにやっている」と勝負への心構えを語った。
13日目は昨年1勝5敗、大関昇進後は14勝16敗と苦しんできた。“鬼門”を労せずして突破したことは大きい。前日は27秒7の相撲で勢に苦戦した。9日目に琴奨菊に初黒星を喫し10日目から3日続けて、いずれも俵に足がかかり、追い込まれてからの逆転勝ちだった。疲労の意味でも勝負の残り2日に向けてリセットできたのは間違いない。
13日目終了で単独トップをキープするのは自身初めて。13年5月場所は初日から13連勝したものの、14日目に全勝同士で当たった横綱白鵬に敗れた。千秋楽も琴奨菊に屈し、連敗で優勝を逃した。
何度も悔しさは味わった。今場所は日馬富士、鶴竜と2横綱がすでに休場。千載一遇の好機を生かすだけだ。
平幕の2敗が消え、白鵬とのマッチレースとなった。14日目は復調した怪物・逸ノ城。勝って、白鵬が貴ノ岩に負ければ優勝が決まる。ともに勝てば、千秋楽結びの一番で決戦となる。最大の敵を振り切り初優勝すれば、一気に横綱昇進の機運も高まるはずだ。
不戦勝の土俵で勝ち名乗りを受けた稀勢の里は支度部屋で悠然。質問には「集中するだけ」との言葉を5連発で返した。少ない言葉に高まる緊張をのぞかせた。