稀勢の里「新土俵の鬼」伝説歩む 初代若乃花の化粧まわしで雲竜型

 大相撲の第72代横綱に昇進した稀勢の里(30)=田子ノ浦=が26日、都内の部屋で元横綱初代若乃花が締めた化粧まわしを使用し、雲竜型土俵入りの練習を行った。「土俵の鬼」の異名を取った偉大な二所ノ関一門の先輩を継ぎ、新たな“鬼伝説”を刻むことを誓った。27日は太刀持ちに高安(田子ノ浦)、露払いに松鳳山(二所ノ関)を従え、明治神宮奉納土俵入りに臨む。

 約50年の時を経ても輝きはあせていない。年代物の化粧まわしの中央に描かれるは2本の角に牙を持つ怖い鬼。新横綱稀勢の里がまとい、平成に「土俵の鬼」はよみがえった。

 昭和30年代、元横綱初代若乃花が使用した逸品。「一門の伝統を作っていただいた先々代の二子山親方からお借りしました」。先代師匠の故鳴戸親方(元横綱隆の里)の師匠に当たる偉大な先人を肌に感じ、孫弟子は神妙な表情だった。

 「土俵の鬼」の異名通り、鬼があしらわれたデザインに「そういう気持ちにならないといけない。そういうメッセージ」と“鬼”継承に意欲。夢だった横綱昇進を実感しつつ、見るのはその先。「これから新しい歴史を刻む」と「新土俵の鬼」伝説を歩むことを宣言した。

 三代目若乃花以来19年ぶりに誕生した日本出身横綱。この日は二所ノ関一門の力士が総出で横綱を作るための「綱打ち」を完了した。長さ4・1メートル、重さ6・4キロの真っ白い綱を締めた新横綱は「ぐっと引き締まる」と一門の尽力に感謝した。

 その後、芝田山親方(54)=元横綱大乃国=から雲竜型土俵入りの指導を受けた。「とにかく堂々と、ゆっくり」と巨漢横綱同士だからこその助言。さらに「地を鎮める意味合いもあり、それを思って四股を踏む」と心得も伝授された。

 27日に明治神宮で新横綱の推挙式と奉納土俵入りが行われ、初めて公の場で雲竜型を披露する。「相撲でも人間としても責任感がある。特別なことはできないけど、しっかり気持ちを見せたい」。日本中の注目と期待を背負い、「よいしょー」のかけ声を受ける。

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