渡辺一平 世界新! 19歳が人類初の2分6秒台、憧れの北島氏の前で快挙達成
「競泳・東京都選手権」(29日、東京辰巳国際水泳場)
男子200メートル平泳ぎ決勝で、リオデジャネイロ五輪6位の渡辺一平(19)=早大=が、2分6秒67の世界新記録で優勝した。12年岐阜国体で鹿児島・志布志高の山口観弘(現東洋大)が樹立した2分7秒01を0・34秒上回り、世界で初めて2分6秒台をたたき出した。女子200メートル個人メドレーは池江璃花子(16)=ルネサンス亀戸=が日本歴代3位の2分9秒98をマークし、高校新記録で優勝。渡辺と池江は、それぞれ北島康介杯(大会MVP)を獲得した。
身長193センチの“ポスト北島”がドデカい記録を打ち立てた。人類初の2分6秒台をたたき出した渡辺は「世界記録は狙ってなかったが、まさか6秒台とは」と驚いた様子。東京五輪でのお家芸復活の号砲を鳴らし、「リオではメダルを途切れさせてしまい申し訳なかったが、日本の平泳ぎが最強だと証明できてよかった」と胸を張った。
五輪2大会連続2冠の北島康介氏に憧れ、世界の頂点に立つことを夢見た。携帯電話のメールアドレスには高校時代から変わらず“リスペクト北島康介”を意味する「re-kk」が入っている。決勝を泳いだレーンは08年に北島氏が当時の世界記録を樹立し、記念プレートが設置されている伝説のコースとあって、何かに導かれるように体が動いた。
リオでは準決勝で五輪記録の2分7秒22を出したものの決勝で不発。日本男子平泳ぎでは4大会ぶりに表彰台を逃し号泣した。五輪後は目の色を変え、課題だったスタートやターンの改革に着手。下半身の筋力アップを果たし「壁を蹴る力が上がって、前半のスピードが上がった」と実証してみせた。
指導する奥野景介コーチは「9月から真剣に課題に取り組んで、世界新記録はいつ出てもおかしくなかった」と明かしつつ、「世界では2分5秒台への競争はもう始まっている」とハッパをかけた。渡辺も浮ついた様子はない。「世界記録だけど自己ベストなのでどんどん更新したい。まだ通過点。大舞台で力を出せるようにしたい」。まずは7月の世界選手権(ブダペスト)で、北島氏以来の金メダルをつかみ取る。