大野ひかる、東京五輪「金」候補名乗り 現役女性消防士の異色空手家
20年東京五輪で新種目に採用される空手のトップ選手が集う国際大会、プレミアリーグのパリ大会に出場した日本代表が31日、羽田空港に帰国した。女子形で優勝した大野ひかる(24)は、地元の大分県大分市で消防士として働きながら、20年東京五輪を目指し、競技に打ち込む異色の空手家。世界選手権連覇の女王・清水希容(23)=ミキハウス=が君臨する同種目だが、たくましき女性消防士が金メダル候補に名乗りを上げた。
世界選手権団体形での金メダルの経験はあったが、シニアの個人ではこれが実質初タイトル。「個人でチャンスをもらえて、それをモノにできた。自信になります」と、笑顔を浮かべた。
現在は空手に集中するため、事務仕事が主だが、入局後、半年間は消防隊員として現場にも出動した。同志社大卒業後に、消防士を志したのは「地元に恩返しがしたかった」から。ただ、消防学校での訓練は、想像を絶するものだった。同期20人の中の女性は1人。真夏の炎天下に火災防御訓練や、ホースや重い装備を背負っての訓練。「毎日ヘロヘロでした」と振り返るが、それでも気持ちが揺らぐことはなかった。「辞めようと思ったことはない。自分が決めて入ったので」-。
組手でも高校時代、全国大会で数々のタイトルを手にするなど実績を誇るが、五輪でのターゲットは個人の形。女王・清水もいるが「希容ちゃんの存在はいい刺激になっている。お互いそうだと思います。しっかり戦って競い合っていきたい」と、未来を見据えた。