“ひよっこ”カー娘の中部電力が下克上 解散危機乗り越え決勝へ
「カーリング日本選手権」(4日、軽井沢アイスパーク)
変則方式のプレーオフが行われ、女子の中部電力が、決勝進出をかけた準決勝でソチ五輪5位の北海道銀行を8-4で破り、5日の決勝に進んだ。3年前まで4連覇したチームが五輪への夢をつないだ。連覇を狙う1次リーグ全勝のLS北見は1回戦で同2位の中部電力を9-8で破り、決勝一番乗り。男子は5連覇を狙うSC軽井沢クと札幌が決勝に進んだ。
平昌五輪への道をつないだのは、チャレンジャー軍団・中部電力だった。昨季の日本選手権は地区予選で敗退。当初は出場が目標だった今大会で快進撃を続けている。北海道銀行との準決勝でも相手のミスを逃さず加点して勝利をつかんだ。主将のサード清水は「経験値は相手が上だけど、勝ちたい気持ちを持って戦えた」と胸を張った。
北海道銀行はソチ五輪の代表決定戦で敗れた因縁の相手だった。その後、市川が引退。藤沢が移籍でチームを離れ、解散の危機もあった。残った清水とスキップ松村が中心となり、若い選手を集めてチームを再構築。試練を乗り越えての雪辱だが、松村は「あのときとはメンバーも立場も違う。私たちはチャレンジャー。勝てたのは自信になった」と素直に勝利を喜んだ。
相手は憧れの存在でもあった。代表決定戦後に加入した20歳のリード石郷岡は青森県出身。カーリングを始める前、小学3年のときに参加したチーム青森の体験会にきていたのが当時所属していた小笠原と船山だった。
「『リリースは握手をするように』と言われた」と石郷岡。実際に握手をしてもらいながら受けた指導は、今でも迷ったときの“原点”ともなっているという。
それぞれが思いを抱いた相手に勝ちきり、決勝進出。優勝すれば、9月の平昌五輪代表決定戦への切符をつかむが、松村は「五輪は意識せず、目の前の試合を戦うこと。その先に五輪がつながればいい」と言う。一段ずつ階段を上り続け、無欲で勝利を積み重ねてきた挑戦者。その歩みを止めるつもりはない。