白鵬主役奪う!横綱10年のプライドで稀勢の里フィーバーはねのける
「大相撲春場所」(12日初日、エディオンアリーナ大阪)
土俵祭りが11日、会場のエディオンアリーナ大阪で行われ、八角理事長(元横綱北勝海)ら親方衆、三役以上の力士が出席し、場所中の安全などを祈願した。3・11東日本大震災と同じ日、32歳の誕生日を迎えた横綱白鵬(宮城野)は被災地への特別な思いを胸に、復活の5場所ぶり38度目の優勝を誓った。新横綱稀勢の里(30)=田子ノ浦=で沸く春の浪速で主役を奪い取る。
土俵祭りの前に震災犠牲者へ黙とうが捧げられた。白鵬もじっと目を閉じ被災地を思った。東日本大震災の日に、また1歳年を重ねた。「6年がたった。当時は誕生日を3月10日に変えようと思っていたけど、今となれば、この日に生まれたのも宿命」。特別な春場所を今年も迎えた。
自らが力士会の先頭に立ち、被災地を慰問。子供たちに土俵を寄付し、義援金も送ってきた。「今までやってきたことは間違いない」としみじみ。被災者への思いが今年もモチベーションになる。「テレビ画面を通じて笑顔でお会いできたら」。過去7度の賜杯を手にし、連覇中の春場所で復活のV38を目指す。
32歳。昨秋、右足親指と左膝を初めて手術した。「ケガしやすい体になったのかな」と20代の体ではないことを感じる。一方で「21世紀はいろんな機械(トレーニングマシン)がある」と、まだまだ伸びる手応えもある。
2020年東京五輪での横綱土俵入りを目標に、ここからもうひと花咲かせるつもりだ。魁皇の持つ歴代最多通算1047勝へあと28勝を年内に達成し、来年はあと5場所に迫る北の湖の歴代1位横綱在位63場所更新が視界に入る。
「一つ一つ記録を達成し、3年後の五輪に笑顔で(被災者の方々と)会えたら」
19年ぶり日本出身横綱誕生で稀勢の里フィーバーが巻き起こる浪速の春。だが横綱の地位を10年も守り続けた意地とプライドがある。17年ぶり4横綱時代。白鵬が実績と格の違いを見せ付け、新横綱の壁になる。