川内優輝VS瀬古利彦リーダー、個性派2人かみ合わず…マラソン代表会見
8月のロンドン世界選手権に出場する男女マラソン代表が20日、都内に集合し、本番に向けたミーティングを行った。今回の世界選手権を最後に日本代表争いからの撤退を表明している川内優輝(30)=埼玉県庁=と、マラソン復権を託された瀬古利彦長距離・マラソン強化戦略プロジェクトリーダー(60)という陸上界屈指の強烈なキャラクターの持ち主が顔をそろえたが、終始かみ合わなかった。
瀬古リーダーはこの日、代表選手、コーチを前に約30分間スピーチし「このままじゃ、マラソンがなくなってしまう」と、危機感をあおった。瀬古リーダーが現役時代に師事した中村清氏(故人)の言葉を引用しながら、「鎌やカミソリのようにすぐに刃が欠けるようでは駄目。日本刀のように強い選手になってほしい。選手は鉄が真っ赤くなるように熱く燃えて、コーチは刀鍛冶のように命を懸けて鉄を打つ。そうすれば立派な日本刀のような選手ができる」と、力説した。
女子代表の安藤友香(スズキ浜松AC)らはメモなどを取り真剣に聞き入っていたという。ただ、コーチを付けず、独自の調整をする川内は「正直、難しいですね。僕の場合は自分でたたかないといけないので」と、苦笑い。瀬古リーダーも「まあ彼はどっちもできるから」と、苦笑いだった。
また、川内の“代表引退”について、瀬古リーダーは「東京五輪までやってほしいけどな」と話し、東京挑戦をオファーする場面もあった。川内の決意は19年ドーハ世界選手権、20年東京五輪と、苦手としている30度を越える猛暑が予想されるコンディションであることが一因。会見場からの帰り際に、川内に声を掛けた。
瀬古リーダー「川内、暑いのが苦手とか言ってちゃ駄目だよ!」
川内「ロンドンの暑さなら大丈夫です!」
瀬古リーダー「ロンドンじゃない。東京だよ、東京」
と、東京五輪挑戦を要請したが、川内は困惑の表情を浮かべた後、「誰もが東京を目指しているわけじゃない。ロンドンがすべてなんです!」と、身ぶり手ぶりを交えて力説。その言葉の圧に、瀬古リーダーはたじたじとなり、最後は「すいません。勉強になりました」と、頭を下げる展開となった。個性派2人のシュールなやりとりに、会場は笑いに包まれた。