高安、さあ夏場所大関とり 貴ノ岩の奇襲を一蹴、10連勝
「大相撲春場所・10日目」(21日、エディオンアリーナ大阪)
関脇高安が平幕貴ノ岩をはたき込み、自身初の初日から10連勝とした。先場所の11勝に続き、2場所連続三役で勝ち星を2桁に乗せ、来場所が大関とりになることが確実となった。横綱稀勢の里は関脇玉鷲を寄り切り、1場所15日制が定着した1949年以降の新横綱では、4人目となる無傷の10連勝。大関照ノ富士は正代を上手投げで退け、平幕の栃煌山は大翔丸をはたき込み、ともに1敗を守った。
力はすでに大関級だ。高安が貴ノ岩の奇襲を一蹴し、自身最長となる初日からの連勝を10に乗せた。
立ち合い、当たると見せて左に変化した相手にも動じない。しっかり残して向き合うと豪快な右を一振り。土俵にたたきつけた。「(変化は)頭に入っていた。しっかり見えていたので、すぐ対応できた。(下半身も)全然大丈夫だった」と分厚い胸を張った。
関脇で無傷10連勝は、10年春場所の把瑠都以来7年ぶり。大関昇進条件は3場所連続三役を務め、計33勝以上が目安になる。先場所は小結で11勝し、連続2桁。夏場所(5月14日初日、両国国技館)で2度目の大関とりに挑むことは確実だ。
昇進問題を預かる審判部の藤島副部長(元大関武双山)は「来場所はそういう話(大関とり)になる。いい内容」と述べた。八角理事長(元横綱北勝海)は「強くて内容がいい10連勝」と絶賛した。
心身ともに成長の理由は、兄弟子の稀勢の里と2月から三番相撲を行ったからだ。「失礼なことがないように」と、強烈な張りも遠慮なくかます真剣勝負。「自分も欲が出てきた」と、横綱パワーを存分に吸収した。
49年以降、同部屋の2力士のみで10戦全勝トップ並走は初。大きな2桁星も、高安にとっては通過点だ。場所前から「優勝」を狙うことを宣言してきた。「心身ともに充実している」。終盤戦、稀勢の里に食らいつくのみだ。