稀勢の里11連勝!新横綱Vへ一直線 弟弟子に経験の差見せつけた

 「大相撲春場所・11日目」(22日、エディオンアリーナ大阪)

 新横綱稀勢の里が平幕嘉風を送り出して自身3度目の無傷11連勝とし、先場所に続き3度目の単独首位に立った。11日目としては12年5月場所以来。全勝で並んでいた同部屋の関脇高安が横綱鶴竜に上手出し投げで敗れ、初日からの連勝は10で止まった。高安、大関照ノ富士、平幕栃煌山の3人が1敗で追う。

 目の前で敗れた弟弟子に見せ付ける経験の差だった。稀勢の里も苦しかった。立ち合い、嘉風の低い当たりに土俵際まで後退した。

 だがピンチでも今場所は余裕がある。右から回り込んで脱出。パワフルな左一撃で相手を後向きにして背中から土俵外に飛ばした。ついに立った単独トップ。「集中してやりました。いろいろ展開はあるからね」と、短い言葉に力を込めた。

 場所前には稽古中、嘉風の頭がぶつかり左目上のまぶたを切り流血した。縫うケガを負わされた“因縁”の相手に朝稽古では「意識しないようにやる」と話していた。スピードがあり、前日に鶴竜から金星を挙げた35歳の難敵を突破した。

 初日から11連勝は12連勝した昨年夏場所以来、自身3度目。新横綱では15戦全勝した先代師匠の故鳴戸親方(元横綱隆の里)、12連勝した玉の海、旭富士に続く4人目だ。

 11日目終了時点での稀勢の里の単独トップは12年夏場所、先場所に続き3度目。新横綱では1990年秋場所の旭富士以来。先場所10日目からの連勝も自己最長の「17」に伸ばした。「また、あした。集中してやる」と止まる雰囲気が全くない。

 心身の充実は横綱土俵入りにも表れる。場所前は1分30秒かからなかったが、初日から徐々に長くなり、今や1分35秒をゆったりとかける。指先まで神経を張る迫力の雲竜型。「体も気持ちも整う」と勝負の土俵への好リズムを生んでいる。

 何度もあと一歩で涙をのんできた。先場所やっと果たした初優勝で完全に殻を破った。先代師匠に続く15戦全勝の新横綱優勝へ一直線。「集中してやる」、「あした集中」、「まあ集中」。お決まりの“稀勢の里節”連発は乗ってる証しだ。

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