稀勢の里の父、大逆転劇「予感あった」 両親が息子の勇姿見届ける

 「大相撲春場所・千秋楽」(26日、エディオンアリーナ大阪)

 新横綱稀勢の里の父・萩原貞彦さん(71)と母・裕美子さん(62)が、実家のある茨城県牛久市から大阪に駆けつけ、息子の勇姿を見届けた。貞彦さんは大逆転優勝の「予感があった」と明かし、今後さらなる大横綱になるべくエールを送った。

 誰もが想像しえなかった大逆転劇を、父は前日から予感していたという。貞彦さんは「(本割、優勝決定戦の)2つ取れると思っていた。昨日、負けた時点でね。本人もずいぶん反省したんじゃないかな」とこともなげに話す。けがを抱えての優勝にも「いい演出したんじゃないですか」と笑い飛ばした。

 ただ「横綱でなければ休場したと思いますよ。14、15日目は稀勢の里見たさにみんな来る。やっぱりファンのために無理しますよね」と息子を思いやり、「相手を気で勝った相撲だったね」と褒めたたえた。「どんどん(存在感が)大きくなって、1人でも相撲好きを増やしてほしい。それが横綱の役割」とさらなる活躍を期待し、厳しく尻をたたいた。

 一方で母・裕美子さんは「もう声が出ませんでした。本当によかった」と涙を流しつつ、「近寄りがたくなっている。そばに寄れない」と寂しげな様子も。この日も会場で偶然にすれ違ったそうだが、「お互いに知らんぷりをしました」。それでも「皆さんに愛されているのが一番」と、自らにも言い聞かせるようにエールを送った。

 稀勢の里ももう30歳。そろそろ「嫁とり」の方も気になるところで、貞彦さんは「いい人がいればね。本当は奥さんと手と手を取り合って、やっていってもらいたい」と本音を吐露。「でも、現役中は無理だろうね。本人が器用じゃないし。そこまで精神がいっていない。まだ子供なんだよ」と苦笑いを浮かべ、早くもあきらめ顔だった。

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