五輪3枠絶望、日本勢トップは9位の樋口…経験と地力の差 女子SP
「フィギュアスケート・世界選手権」(29日、ヘルシンキ)
18年平昌五輪の国・地域別出場枠を懸けて女子ショートプログラム(SP)が行われ、日本勢トップは9位の樋口新葉(16)=日本橋女学館高=で65・87点だった。日本勢2番目の本郷理華(20)=邦和スポーツランド=は62・55点で12位。上位2人の順位の合計が「13以内」なら3枠、「14~28」以内で2枠を獲得するが、樋口の9位と本郷の12位を足して「21」と、3枠確保は絶望的となった。
四大陸選手権を制して期待を集めた三原舞依(17)=神戸ポートアイランドク=は、終盤の3回転フリップが2回転になった上に転倒。「ステップから入る単独の3回転を跳ぶ」というルールに反しているためこのジャンプは0点になり、59・59点の15位と出遅れた。練習からミスが少ない三原だが「始まる前からすごく緊張して、今シーズンあまり感じたことのない気持ちが芽生えてしまった」と語っており、独特の空気に重圧を感じた様子だった。
14年ソチ五輪の翌シーズン以降、トップ選手が集まるグランプリ(GP)ファイナルと世界選手権で表彰台に乗ったのは、今大会をけがで欠場した宮原知子(関大)だけ。樋口と三原は世界選手権初出場。唯一世界選手権の舞台を知る本郷は全てのジャンプを着氷する意地を見せたが、不調が続いたこともありジャンプの難度を落として臨んでいる。圧倒的に少ない世界での経験値と、地力の差が浮き彫りになった形だ。
ただ日本勢トップにつけた樋口は、重圧の中でほぼ完璧な演技を披露。思う滑りが全くできず、涙を流した四大陸選手権から約1カ月で復調を果たし「すごくホッとしている」と笑みをこぼした。厳しい現実に直面してはいるが、精いっぱいの演技に期待するしかない。
※過去3大会の日本女子の五輪枠取り
◇06年トリノ五輪
前年の05年世界選手権に村主章枝、安藤美姫、荒川静香の3人で臨み、村主が5位、安藤が6位に食い込み、上位2人の合計11で3枠を獲得した。荒川は9位。本大会もこの3人が出場し、荒川が金メダルを獲得した。
◇10年バンクーバー五輪
前年の09年世界選手権に安藤美姫、浅田真央、村主章枝で臨み、安藤が銅メダルを獲得、浅田が4位に入り、上位2人の合計7で3枠を獲得した。本大会は浅田が銀メダルを獲得した。
◇14年ソチ五輪
前年の13年世界選手権には浅田真央、村上佳菜子、鈴木明子の3人で臨み、浅田がSP6位からフリーで順位を上げ銅メダルを獲得。村上が4位に食い込み、上位2人の合計7で3枠を獲得した。本大会では浅田の6位が最高だった。