電撃引退の柏原竜二、理由は「度重なるけが・故障…復帰の目処たたず」
箱根駅伝の5区山上りで圧倒的な強さを見せ、“2代目山の神”と呼ばれた柏原竜二(27)が3日、現役引退することを所属の富士通が発表した。理由については「昨季度重なる怪我・故障をしてしまい、この発表をしている今でも完治しておらず復帰の目処がたたないことから、競技の第一線を退くことにしました」と、説明した。今後は社業に専念する。
柏原は東洋大時代に4年連続で5区を走り、4年連続区間賞、3度の区間新記録をマークするなど、圧巻の走りを披露し、その名を轟かせた。12年に富士通入り後はアキレス腱痛などに苦しみ、5000メートル、1万メートルとも大学時代の自己ベストを更新することはできないなど伸び悩んだ。
昨年3月のリオデジャネイロ五輪代表選考会を兼ねたびわ湖毎日マラソンにも挑戦したが、2時間22分15秒で52位に終わった。「最近、ある人から学生時代のお前には一度も勝てなかったけど、今のお前には勝てる気しかしない。どういうことなんだ」と怒られたことを明かし、「また一からやっていきたい」と話していたが、浮上のきっかけを掴めないまま、シューズを脱ぐことになった。
福嶋監督らからは「やめるには早いのではないか?」「治療やリハビリに専念してみてはどうか?」と慰留されたが、「以前、アキレス腱を長期間痛めた時に『もう一度大きなけがをしたら競技人生に区切りをつける』と自分の中で決めていたこと、故障をしてから治療やリハビリに専念してきましたが回復する見込みがないことから、このような報告をさせていただくこととなりました」と、決意は揺るがなかった。
今後は富士通の社業に専念。「業務内容としては、主として強化運動部のサポートや地域・社会貢献活動の補助など、裏方の仕事がメインになると思います。引き続き陸上教室やゲストランナーなども、ご依頼があれば可能な限り対応させていただきたいと考えています」と、陸上の普及に努めていく意欲を示した。
“山の神”は今井正人(順大・現トヨタ自動車九州)が初代。青学大の黄金時代を築き、“3代目山の神”と呼ばれる神野大地は、昨年コニカミノルタに入社し、今年12月の福岡国際マラソンでの初マラソン挑戦を表明している。