浅田真央 21年分の涙拭い笑顔で前に スケートは「人生」悔いなく別れ

 現役引退を表明したフィギュアスケートの元世界女王、浅田真央(26)が12日、都内で会見し、引退に至った心境を語った。天真爛漫(らんまん)な性格と、力強いトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)、華麗な演技で世界中の人々を魅了した銀盤のヒロインは、終始トレードマークの笑顔で会見。最後には感極まる表情を見せ、2度背を向けて目元をぬぐった。「笑顔で前に進んでいきたいと思います!!」と結び、“真央スマイル”とともに、第2の人生へ踏み出していった。

 最後の最後に浅田真央の“負けん気”が垣間見えた。約50分間、終始笑顔で受け答えした会見の締めくくり。最後のあいさつに臨むと「本当に晴れやかな気持ちで引退を迎えることができました」と話した後、感極まった表情を見せた。

 20秒間の沈黙後、いたずらっぽい表情を浮かべ、カメラに背を向けた。目をぬぐい、再び言葉を紡ぎ出したが、やはり思いは込み上げる。

 「笑顔で…」。もう一度背を向け、目をぬぐい、最後はとびきりの笑顔で言った。「笑顔で前に進んでいきたいと思います!!」

 引退の決断は2月。昨年12月の全日本選手権で自己ワーストの12位に終わった時に「ああ、もういいんじゃないかな」と引退が頭をよぎった。ただ、そこからは自身の信念との闘いだった。

 昨季「平昌五輪が私の最終目標になる」と3度目の五輪挑戦を宣言していた。「これまで自分が言ったことはやり遂げないといけないという思いがあった。言ってしまったこととの葛藤はあった」。何度も心に問い直した。そして最後は自分で決めた。「気持ちも体も自分の気力も、もう全部出し切った。悔いはない」。勝負の銀盤を去る決断を下した。

 見る者をとりこにした21年に及んだ競技人生。『浅田真央にとってスケートとは何か?』という問いにきっぱりと言った。「人生です」。ただ、もう一度、この人生を歩める自信はない。「すべてをやりきって、もう何も悔いはない。だからもう一度人生があるなら、スケートの道はいかない」と笑った。

 絶対に人前で涙は見せない。それは現役時代も大事にしていた母の教えでもあった。銀メダルに終わったバンクーバー五輪の後、悔し涙が止まらない真央に言った。「応援してくれる人がいる。いつまでも泣いていては駄目」と諭した。

 匡子(きょうこ)さん(享年48)を亡くした直後に出場した11年全日本選手権も、裏ではずっと泣いていた。それでも表舞台では決して涙は見せなかった。最も思い出に残っている演技に挙げたソチ五輪の“伝説のフリー”直後の万感の涙には「ああ泣いてちゃ駄目だと思って、頑張って笑顔にした」とちょっぴり悔いがあった。だから、今日は絶対涙は見せないと決めていた。

 今後については未定だが、プロフィギュアスケーターとして、7月のアイスショーで演技を披露する。会見を終え、控室に戻った後、壁の向こうから声が聞こえた。「泣いちゃった!」。日本中、世界中の期待を背負った銀盤のヒロインの重圧から解かれ、普通の26歳に戻った浅田真央の姿がそこにはあった。

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