73キロ級リオ金・大野、体重無差別に真っ向勝負で玉砕「小細工なし」

 「柔道・全日本選手権」(29日、日本武道館)

 男子100キロ超級の世界選手権代表最終選考会を兼ねて体重無差別で行われた。最軽量で出場したリオデジャネイロ五輪73キロ級金メダルの大野将平(25)=旭化成=は、真っ向勝負で会場を沸かせたが、初戦となった2回戦で池田賢生(日本中央競馬会)に、延長戦の末、9分54秒で一本負けした。

 出場全43選手と並ぶと、ひときわ小ささが目立つ身長170センチの大野が、100キロ級の相手に真っ向勝負を挑んだ。「小細工なしで、正しく組んで正しく技を掛けようと」。73キロ級で戦うときと同じようにしっかり組んで、得意技の内股、大外刈りを仕掛けた。ポイントこそ奪えなかったが相手を浮かせるなど見せ場をつくった。

 先に相手に指導2つが入ったが、今回から導入された新ルールにより、ゴールデンスコア方式の延長戦に突入。試合時間は9分を超え、体力を消耗した小兵は最後は大外刈りを食らって玉砕した。辛勝した池田は「力が強いし、何回か宙に浮かされた。強かった」と驚いていた。

 試合後の取材では「自分の柔道を表現できたと思うけど、皆さんはどうでした?メディアや観客の皆さんに評価を聞きたい」と“逆質問”した大野だが、真っ向勝負を挑んだ世界王者に送られた大きな拍手がその答えだった。全日本再挑戦への意思を問われると「もちろんある」と即答。五輪2連覇だけでなく、最強の柔道家を目指して鍛錬を続ける。

 ◆過去に全日本選手権に挑戦した中量級選手の主な成績

 1964年東京五輪・中量級(80キロ以下)金メダリストの岡野功が67、69年大会で優勝。同じく72年ミュンヘン五輪中量級金メダリストとなる関根忍が72年大会を制覇している。90年大会では71キロ級の古賀稔彦が準優勝。91年大会では78キロ級の吉田秀彦が3位になり、86キロ級に階級を上げた94年大会は準優勝。2014年大会は初挑戦の大野が3回戦で敗退し、81キロ級の永瀬貴規が3位となった。

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