ボルダリング日本女子第一人者・野口啓代が魂のクライミングで銀メダル
「スポーツクライミング・ボルダリングW杯東京大会」(7日、エスフォルタアリーナ八王子)
20年東京五輪新種目決定後初となる日本開催のW杯が行われ、女子は過去4度、W杯総合女王に輝いている野口啓代(27)=茨城県連盟=が4つの課題を全てクリア。試技数により優勝は逃したが、堂々の2位に入った。
頂点には立てなくても、悔しさを上回る充実感があった。「すごく悔しいけど、自分のベストは尽くせた。大満足の2位ではないですけど、大満足のクライミングができました」。すべての課題を力強くクリア。日本の第一人者として大役を果たした野口は、心からの笑みを浮かべた。
第1課題、そして野口を含め2人しかクリアできなかった難関の第2課題と力強く攻略。そして、ハイライトとなったのは、第3課題だ。各選手が難しい体勢からのスタートに苦しむ中、野口も立て続けに5度失敗。しかし、残り20秒からのラストアタックで、何とか難関の序盤をクリアすると、一気に駆け上り、残り1秒でゴールのホールド(突起物)に両手を掛けた。この日のチケットは前売り段階で1600枚が完売。ほぼ満員の会場から、大歓声を浴び「クライミングをやっててよかった」と喜びを噛みしめた。
重圧の掛かる自国開催を終え「ここに懸けてきたので、やっと解放された気持ち」と、安堵。ただ、息抜きの方法は、さすがの生粋のクライマーだった。「岩場にいって、結果の問われないクライミングをして、リフレッシュしたい。楽しいクライミングをしたいな」-。
3年後の東京五輪、きっとこの日を上回る歓声と興奮が、クライミング会場を包み込む。「今日の何倍か分からないぐらいたくさんの人が見にきてくれると思う。もちろん出るなら優勝を目指したい。自分のパフォーマンス、クライミングを磨いていけたら」。その日を夢見て、日本の女王は登り続ける。